「あれ?シンタローくんまだ起きてないの?」
「ああ。すまないがカノ、俺は今手が離せないから起こしてきてくれ」
「了解」
普段なら僕やキサラギちゃんより早く起きてるのに珍しいこともあるもんだ。これはからかってあげなきゃ駄目だよね!?僕は急ぎ足でシンタローくんの寝室へ向かった
「シンタローくん朝だよー…と、熟睡中だねえ」
ドアを開け小声で話しかけながら中に入る。一応足音を忍ばせたがそんな必要ないくらいに深い眠りだ
ベッドの横に立ちシンタローくんの寝顔を覗く。普段は意識してなかったが良く見ると非常に整った顔をしている。いつもはきつい瞳が閉じられて優しい印象になってるし綺麗な鼻と唇。そして眉間に皺がよっているのがなんとも彼らしい
「うーんなんか悪戯できないなあ」
無邪気な寝顔、とは言えないものの疲れているだろう彼の顔に落書きなんてする気にもならない。しかしこのまま寝顔を見ていたい気もするが、起こさなければキドに怒られる。さてどうしよう
「ん…、んん」
「あ、シンタローくん起きた?」
どう起こすか迷っていたら身を捩らせたシンタローくんの重たい瞼が少し開かれた。いつもの半分くらいしか開かれてなくて目付きが物凄く悪い。
「…………カノ…?」
しかも不機嫌!寝起きが悪いのか焦点の定まらない視界で僕にガンつけるシンタローくんの上体を起こし両手で頬を叩く
「……いでえ…」
「朝だよシンタローくん!キドたちが朝御飯作って……」
待ってるよ、と言おうとしたが言葉を最後まで紡げなかった。
シンタローくんが僕の頭を押さえつけ自分の顔に近づけたからだ。わかりやすく言うと唇と唇がくっついてる……って、まさかキスしてる!?僕と、シンタローくんが!
「え……」
「………」
キスするのと同じくらい唐突に離されシンタローくんはパタリとベッドに沈む。僕はあまりのことに頭がついていかない。
だってキスだよ!?自慢じゃないけど初めてだったし!相手が女の子じゃないのが何とも悲しいですけど?シンタローくんの口凄く柔らかかったし!忘れられそうにない。…なのにもしかしてシンタローくん…寝ぼけてただけ?
「人をこんなにしといて寝るなんて…酷いよシンタローくん……」
寝息をたて眠る彼を見て、なぜだか火照る頬と唇を押さえ寝顔を見つめるしかできなかった
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