気づいてるだろう

以前メカクシ団全員で行った遊園地がよほど気に入ったのかマリーがまた行きたいと言い出した。わりと忙しいメカクシ団の連中は俺含め断った


しかしなんということだろうか。いつの間にかふわふわと白い髪を風に靡かせながら瞳を輝かせている少女と俺は再びあの遊園地に居た


「シンタロー…何から乗る……!?」

「お前が決めろよ」

「ええ?じゃ、じゃあ…何が良いかな…」


わくわくを抑えきれない様子でマリーは右往左往と辺りを見渡している。こんなに喜んでくれるなら連れてきてよかったかもしれない。…別に押し負けた訳じゃないからな

「シンタロー、あれ一緒に乗りたい…!」

「おー…って、なんだよあれ!?」

「メリーゴーランド!」

言われなくてもあの白い馬やらかぼちゃの馬車やらファンシーな乗り物がある時点でメリーゴーランドなのは分かっている。しかしここで重要なのはあれに乗る人間だ

乗っているのは幼い子供やその親ばかり。マリーが乗っても違和感はないだろうし大変可愛いらしい絵になる。だが俺が乗ればまず通報されるだろう。想像しても変態だ。変態でしかない。

「いやあ、悪いけどあれは…」

「………シンタロー、乗らないの……?」

「ぐっ…!」

卑怯だ。ここでそのうるうるは卑怯すぎる。不覚にも可愛いと思ってしまった俺は新たにロリコンというスキルを得てしまったらしい

「…仕方ねえな。どれに乗るんだよ?」

「うま!絶対うま!」

「お、おう……」

「お次の方どうぞー」

俺たちの番が来たらしい。白い馬が二個連続で来たので乗る。…なかなか低いな

「乗らないのかよ?」

「…ん」

尋ねるとマリーが両手を差し出してきた。一緒に乗りたいらしい。周囲の目を気にしながら手を掴み引き寄せた。案外軽いその体はすっぽりと俺の胸に収まる

「……ふふ」

「なんで笑ってんだよ」

「なんだか居心地がいいから。シンタローの中」

「……」

その言葉を聞いて只でさえ恥ずかしいこの状況が更に恥ずかしくなってきた

メリーゴーランドをかなり気に入ったマリーはその後何十回も乗ってあっという間に夕方。そろそろ帰らないとセトが心配するだろう

「シンタロー、もう一回!もう一回乗りたいっ……」

「…いいけどさ、後一回乗ったら帰るぞ」

「え…!」

マリーは少し悩んだ後、最後は観覧車に乗りたいと呟いた。



「おー高ぇ……」

「わ、わわわ…た、た、高いよぉ…」

「……はあ、ならこっち来いよ。少しはましになるだろ」

白い物体はぶるぶると震えていた。涙目になっていてこのまま観覧車を降りたら俺が泣かしたと思われるだろう。だからまあ仕方ない

「し、シンタロー…ありが…きゃあっ!」

「あぶねえっ!」


マリーは俺の方へ歩こうとして転びそうになる。それを抱き止めようと身を起こしたらお互いの口と口がくっついてしまっていた

「………」

「………」

見つめ会うこと数秒。マリーの見開かれた瞳が潤み、その頬が真っ赤に染まる

ああ意味がわからない。なんでこんなに暑いんだなんでこんなに胸が騒ぐんだなんでこんなにこいつが可愛い見えるんだよ

「……俺ってさ、お前のこと好きなのかな」

「え!?…わ、わかんないよそんなの…」

自分より慌てた様子のマリーをみて若干落ち着きを取り戻した俺は気づいたらとんでもないことを言い出していた

「じゃあ付き合えばわかんのかな」

「つ、付き合う……!?」

つい口から出てしまった言葉を取り消そうとしたらマリーが真っ赤な顔で俺の手をぎゅっと握る

「…ふつつか者ですが…よろしくお願いします……!」

再び高鳴ったこの心臓が言っている

既に恋だと気づいているだろう、と



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