「やあ今帰り?」
夏の薄暗い夜道。その通りは私の家までの帰り道だったのだが最近そこにある電線の近くに見知らぬ男の子が毎日いる。最初はストーカーかと思ったけど、お互いの名前も知らないしただ家まで一緒に歩くだけ。
時々からかわれたりもするけれど彼の話は面白くて一緒にいるととても楽しい。今では友達のような感覚だ
「君はさ、どうして僕と一緒にいてくれるの?知らない男と帰るなんて怖くない?」
「…他の人だったら怖いけど…あなたは優しそうだから大丈夫」
「へー?信用してくれちゃってるんだ。こんな気味悪い僕のこと。凄いなあ」
「気味悪くなんて…」
この人はたまに自分を下げることがある。自分は気味が悪いだろう、信用するな、と言われてる気分だ。
でもそういうときは決まって私の顔色を窺うのだ。まるで嫌われることに怯えているようなそんな様子で。
だからかな。私はそんな彼のことが気になって知りたくてどうしようもなくなる。本心をちらりと見せても全部は見せてくれない彼を暴いてみたくなる
これが恋なのだとしたらきっと後戻りはできない
「ねえ明日もまた待ってていいかな?」
不安げに揺れる瞳。それが本物じゃなかったとしても構わない
絶対にあなたを暴いてみせるから
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