利用
黒尾←夢主←弧爪






「弧爪くん、今日も練習頑張ってね」


「あ……う、うん……えーと…ありがとう」


「ふふ、どういたしまして」


顔を赤める弧爪くんは可愛いくて好感を持てる


でもそれだけ


可愛いし好きだけど弟みたいにしか思えない


弧爪くんが私にくれるのと同じものは返せない


だって私は



「姫」


「遅いよ黒尾」


「悪い。で、研磨のやる気はだしたか?」


「うん。だから…」


「急かすなって。…ほら」

黒尾は私を引き寄せ深い深い口づけをする


「ん……」


「…ふ、んあ……」


「くろ、お」


「っ、姫…」


もっとしてほしい


もっと触ってほしい


でもその願いはいつだって叶わない


「…あいつのやる気を出せるのはお前だけだ。これからもよろしく」


「あ…」


あっという間に私を引きはがし周囲に愛想を振り撒きながら部活の練習に戻ってしまう


残された私はぽつんと一人でその場に立ち尽くす


そんな私を見兼ねたのか弧爪くんが練習を中断し私に近づいてきた


「姫……」


「…どうかした?弧爪くん」


無理矢理笑顔を作る私に弧爪くんの顔が暗くなる


「……クロに、疲れたんなら………、その」


「大丈夫大丈夫!私黒尾を振り向かせるまで頑張るから!!心配してくれてありがと」


「…うん」


続きを聞きたくなくてわざとはぐらかす


ごめんね弧爪くん


その言葉は聞けない


だって聞いちゃったらもう彼との関係も終わってしまうから


ねえ黒尾


どんなに利用されたってあなたの隣にいたいんだよ


私も弧爪を利用しているけれど



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