素直になれば
「おっはよー飛雄くん!」

「……」


高らかに名前を呼んで挨拶するが、無視される


「飛雄くん?ねえねえ飛雄くん!飛雄?影山くん…………王様!!」


「やめろ」


「ぐっ…」


その異名で呼ぶなとその雰囲気が伝えてくる


「格好良いじゃん王様ー。翔陽だって羨ましいって言ってるよ?」


「…名前の由来を知らないからそんなことが言えるんだ。いいからどっか行け」


「やだ」


「…なんでだよ」


威圧感たっぷりと上から見下ろす飛雄くんはちょっと不機嫌そうだ


でもわかるよ。私には


「だって私が別のとこ行ったら飛雄くん寂しがるから」


「はあ!?妄想も大概にしろ俺は別に」


「いいの?じゃ翔陽のとこ行っちゃおうかなー」


丁度少し手前に翔陽の姿を見つけた


目の前の無愛想な彼とは違って挨拶をすれば笑顔で応えてくれるだろう


「翔よ…」


「待て」


「わっ」


本気で翔陽に声をかけるつもりはなかったのだが予想外にも飛雄くんは私の手を掴み自分の方へ引き寄せた


「い、行くな」


「えっ…」


顔を逸らしながら俯いても身長差があるためその表情が良く見えてしまった


赤く染まったその頬には隠しきれない私への行為


自惚れじゃないよね


「…素直になれば可愛いのに」


「はあ!?…いいからさっさと行くぞ!」


「はいはい」


素直じゃないきみも大好きだけど



「もしかして翔陽に妬いた?」


「妬いてねえよ!」


「本当にー?」


ニヤニヤしながら見つめれば飛雄くんはグッと詰まったように喉をならした

「少し…妬いた」

「!あーもう好き飛雄くん大好き!!」


「うわああああはなはなはな離れ離れ離れろっ!オイ佐藤っ」


飛びついた私に照れる素直なきみはもっと大好き!








―――――――


「知ってる?あいつらあれで付き合ってないんだぜ」


「ぐぐく悔しい影山のくせにいいいいいいい」


「あんな影山気持ち悪い…」


二人を見つめる影が3つほどあったのは気づいていない



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