※死ネタ 報われない
「ぐ、げほっげほ、はあ」
「半兵衛様…」
寝床に横たわる半兵衛様の手を握り名前を呼ぶ
苦しそうに咳込む彼を見て死期が近いと思い知らされる
「っはあ、女主……」
「半兵衛様っ、無理に話すのは」
「お願い。聞いて…」
伝えたいことがあるのだと、もう力が入らない手で握り返される
「わかるよね。俺はもう長くない。俺が死んだら秀吉さんを頼って」
「…死にません。半兵衛様は、私を置いていったり、しません」
「…参ったな」
半兵衛様は弱々しく微笑むと、再び口を開いた。
「女主、俺がこんな姿を見せるのは君だけだよ。…本当は1番見せたくないのも君なんだけどね。わかってくれるよね?君を信頼してるんだ。俺の死後秀吉さんを頼みたい」
「そんなお願い、きけません」
「君と平和な世界で過ごしたかったな…」
「半兵衛!」
「…泣かないで。死んでも君だけ大好きだから」
「死んでしまったら、意味などないではありませんか」
「あるよ。きみのなかで、君を好きな俺が生きるんだ。だから…う、がはっ」
再び咳込み苦しそうに呻く半兵衛様。私はそれを見てることしかできなくて
そのまま呆気なく、逝ってしまった
最後まで苦悶の表情を浮かべながら眠る彼を見て、私は懐から刀を取り出した
半兵衛様…申し訳ありません
あなた様のいない世界で私が存在するなどできません
どうか、後を追う私を許してください
自分に刀を突き立て、半兵衛様を汚さないようにして隣に眠る
きっと、私も半兵衛様も向かう場所は一緒。
武士になった時に地獄に堕ちる覚悟はできている
どうか私も一緒に連れていっていただけませんか
地獄まで共に