追いかけっこ
※時系列無視


最近、気づいたことがある


秀吉様、三成や清正といった男性と話していると、半兵衛殿がこちらに来るのだ



それはもう頻繁に



「女主?どうかしたか」


「あ、いや別に」



「気になることがあるのならはっきり言うのだよ。いつもなら言っているだろう」



「本当に何でもない。ただそろそろかなと思っただけで…」



三成に促され説明してる最中に大きな足音が聞こえてきた



「なんだこの音は!?」



「あれは、確か軍師の…?」



半兵衛が全速力でこちらに向かっていた。


いや向かってきたなんてもんじゃない。気づいたときには既に目の前にいて、あっという間に手を引かれ連れ出される



「女主!」



「何をしているのですか半兵衛殿!」



二人の声を振り切るように走る半兵衛殿に何を言っても無駄なことは知っているので、ひたすらついていく


とはいっても私の方が足が速いので、横に並んではいるが


「はぁ、はぁ、もう追いついてこないでしょ。さあ座って女主」



先程の場所が見えなくなるほど走った半兵衛は息が苦しそうだ
促され、木の下に座る



「半兵衛殿、いきなりは驚くので事前に言ってくれとあれほど……」



「分かってるよ。ごめんってば」



全く誠意の感じられない謝罪にこれ以上言っても無駄だと思い、口を閉ざす



「怒ってるの?本当に悪いと思ってるよ。ただ、気づいたら走ってるんだから仕方ないよね」



「仕方なくありませんよ。毎回決まって殿方と話してるときに連れ出すんですから」



「だって君が楽しそうに俺以外の男と話してるから」



「女性なら良いのですか?おねね様とか」



「それなら俺も安心だよ!」


勢い込む半兵衛に、ため息をつく


「な、なんでため息ついてるのさ」


「女性も男性も変わらないでしょう。今後、このような行為はやめてください」


「変わるってば!君が男と話さないならもう止めるよ……」


「なぜ男性と私が会話するのが嫌なんですか?」



「それは……」



半兵衛はいきなりもじもじと体を縮ませた

「俺が、女主を好きだからだよ」



「え、それは…ありがとうございます」



「あーもう!分かってない!君のことを女として見てるってこどだからね!?」



「え」



半兵衛の言葉を頭の中で復唱し、意味を確かめる



「え…、え…それはその」


なんだか顔が熱くなってきた



「お?その反応は俺にも脈はあるってことかな」



私の反応に、機嫌が良くなったのか半兵衛はにやにやと意地悪く笑う



「まあ、これで俺が君を連れ出す理由も分かったでしょ?告白もしちゃったしもう遠慮しないから」



半兵衛は私の髪の毛を一房すくい口づける



「あ…」



「好きだよ、女主」



近距離で言われたその言葉にもう赤くなることしかできなかった



「さーて、まずは城中の男共に女主は俺のだって言い触らしてこよー」



「や、やめてください半兵衛殿!」




また城まで私と半兵衛殿の追いかけっこが始まってしまった


私の心は既に捕まっているかもしれない




TOP

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -