―女主視点―――
男達に連れていかれた場所は、どこかの高台だった
大勢の人間が周りを囲んでいる
「おい、連れてきたぞ。こいつが知らぬ顔の半兵衛の女だ」
「なっ、違う!私は武将で」
「うるせーな!何でもいーんだよ半兵衛が来るかお前を殺せばなぁ俺らは楽になれんだよ!」
男達は私を地面に押さえ付け、置いてあった長剣を手にした
私の周りには長剣を持つ10人くらいの男
高台の周りには大勢の人間
私は強いが、それは技術の話であって、押さえ付けられてしまえば、男の力には敵わない
(半兵衛様……!)
死を覚悟したそのとき
「うわああああっ」
「ぐっ苦しい……」
長剣を持った男達が倒れていく
何が起きたかわからずにいると、突然半兵衛様の声が聞こえた
「どーもどーも。女主無事?てか俺君が他の男に触られるなんて堪えらんないよ。潰す」
そう言いながら私を押さえ付けていた男を剥がして倒す
そして大勢の人間を見渡し不敵に笑いながら言う
「君らもさぁ、わざわざ俺の大切な人が殺させるところを見に来るなんて暇だなあ。覚悟、してよ?」
その言葉を聞いた人々は一目散に逃げていく
その光景を見送った半兵衛様は私を抱きしめた
「女主、危険な目にあわせてごめんね」
「半兵衛様……どうして」
「俺の神算にかかればこんなもんだよ。……て言いたいとこだけど、実は君が連れていかれるところを見てたんだ。すぐに助けたかったんだけど、あいつら強いからさあ、先回りして武器に毒塗って後は見ての通りだよ。遅くなっちゃったね……」
「そんなこと、ないです半兵衛様……」
半兵衛様の気持ちに応えるように私は強く抱きしめ返した
「半兵衛様……」
「うん」
「怖かったです」
「…うん」
「でも、半兵衛様の姿を見たとき、とても安心しました」
「そうなの?」
「はい、だからその……」
私をじっと見つめてくる半兵衛様の視線に耐え切れず俯いてしまう
「その……、ご褒美をください」
私の言葉が意外だったのか半兵衛様は目を点にした
「あ、ふふっ。あっははは!」
「な、なぜ笑うのですか」
「だ、だって…はは。女主ってばそんなこと言っちゃ駄目だよー。俺嬉しすぎて死んじゃうから。ご褒美何がいい?」
「あ……」
いつものように髪を撫でてくれる
それだけで胸がいっぱいになった
「……いっぱい撫でてください」
「それだけでいいの?」
半兵衛様は顔を近づける
「あ、その……では、接吻をお願い…します」
「ふふ、良くできました」
「あ……」
恥ずかしくて顔を伏せると、顎に指を沿えられ上げられる
「俺の立場上また君を危険な目にあわせるかもしれない。それでも女主は俺の隣にいてくれる?」
「はい。私の主は半兵衛様しかいません」
「……ありがとう、大好きだよ女主」
ゆっくりと、顔が近づき重なった
――
「そういえば、先回りって言ってましたけど、どうやってあの場所だと分かったんですか?」
「ああ、それはね。俺の神算だよ。ていうかご褒美あげたけど敵に捕まっちゃったしお仕置きもしなきゃねー」
「え!?」
「何がいいかなー」
「え!?」
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