設定:女主ちゃんは半兵衛の護衛武将で恋仲です
時期は信長が光秀に討たれてから、秀吉が天下をとる前です
「やっ、はぁ!」
張り詰めた緊張感の中、一心不乱に剣を振るう
敵を次々と斬り伏せても全く終わりが見えない
積み重なる人の残骸にいい加減気が狂いそうだ
でも負けるわけにはいかない
任務を終えて帰還すれば半兵衛様に褒めてもらえる
そう約束したのだから
私は緩む頬を抑え切れないまま戦場を駆けていく
何刻か過ぎ、長引いた戦は終わった
半兵衛様の下へ行こうとした私は背後から殺気を感じたので後ろにいた人間を捕らえ手首を捻りあげる
「勝負はついた。まだあがくつもり?悪あがきなんてしても勝敗は変わらないのに」
「悪あがき?はっ、俺らはくそがきを懲らしめにきただけだ!かかれぇっ」
その声に何十人もの人間が迫ってきた
――半兵衛視点―――
おかしい
先程から女主の姿が見えない
「んー。俺から離したのが原因かなあ」
いつもなら俺の近くで護衛する彼女を、やむを得ず遠くに配置してしまった
しかしこの戦は豊臣の秀吉様が天下をとるためには勝つしかない。つまり、逆に別の人間を天下人にしたい奴は沢山いるのだから、秀吉様を狙う奴だって増えるし、護衛につかせる以外にはなかった
「失敗したなあ……」
俺を近くで守りたいという彼女を、秀吉様を守ることが俺を守ることだなんて言って説得したのは良いけれど、まさか女主の方がいなくなるだなんて
その時、誰もいないはずの森の中から物音がした
長い時間戦をしていたから動物さえいないはずなのに
もしかしたら
女主がいるかもしれないと思った俺は近づいてみる
足を進めるごとに、気配が増えていく
その中には、女主の気配もあり、明らかにただ事ではない
「あれは……」
複数の屈強な男にどこかへ連れていかれている女主がいた
「女主っ……」
待て待て
落ち着け、俺
今行くのは得策ではない
「必ず助けるから、待ってて」
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