髪と人形

※恋人関係



それはある日の昼下がりのことだった



「蘭丸髪の毛伸びてるよ」



私がそう指摘すると蘭丸は驚いたような表情を浮かべた


「あっ…本当だ……。最近身なりを整える時間がなかったもので…。ご指摘ありがとうございます」


「うーん。あっ、そうだ蘭丸!今ひま?」


「はい。本日は信長様よりお暇を頂いております」


「そっか。なら少し私に付き合ってくれる?」



「分かりました。蘭でよろしければ付き合わせていただきます」



私は蘭丸を自分の部屋へ連れていった


部屋の中央に座るよう促すと素直に従う


私は櫛と小刀を手にとり蘭丸へ近づく


「何をなさるのですか?」


「蘭丸の髪の毛切りたいなーって」


「女主殿が蘭の髪を!?」


「う、うん」



「お願いします!!」


私がしたくてしてることなのだが、蘭丸の方がとても喜んでいる


それを見て私も嬉しく感じた



私は小刀を蘭丸の髪に滑らせ少しずつ落としていく



「ふふ、くすぐったいです女主殿」


時々手が耳や首を掠めたら可愛らしく身をよじる



そんなことを繰り返して元の長さくらいまで切り終わった


私は落ちている髪の毛を拾う


「女主殿!そのようなことは私が」


「ねぇ蘭丸」


彼の言葉に被せて言う


「今人形を作ってるんだけどこの髪の毛使っていい?いつでも一緒にいたいから」


私の言葉に蘭丸は驚いていたが、すぐに嬉しそうな表情になる


「使ってください。あなた様が蘭を想ってくださるのはとても嬉しいです。蘭も…女主殿といたいです」


「じゃあ2つ作るね。長いから3つ作れるかも」


「3つ、ですか。余ってしまいますね」



「余らないよ?」


「え?」

「子供ができたら3人で遊べるね」


「なっ……!」




再び蘭丸の目が見開かれる


なんだか今日は驚かせてばっかりだな


そんなことを考えていると蘭丸は目を伏せ俯く


「ら、蘭は…ごっこ遊びなど知りませぬ」


「じゃあ私と一緒にしてみよっか。まずは人形作ろう!」


「女主殿…」







幾年の後、3つの人形で2人と子供が笑いながら仲睦まじく暮らしているのを見たそうな




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