その日の放課後、俺と遊佐は教室掃除で廊下のモップがけをしていた


「そういえばお前、英語の時間爆睡だったよな」


「あー、ちょっとね。今日徹夜しちゃって」


「はぁ?またゲームでもしてたのかよ」


「違うってば。ブン太先輩にお菓子作ってたの」





ちくん




「でもさ、好みがわからなくて悩んじゃった」




ちくん






「サプライズなんだけど、手作りって重いかなーとか」



「……そうかよ」



俺には、ないのかよ



照れたように話す遊佐に聞けるわけなかった



「あっ」


突然遊佐が笑顔俺の後ろに手を振った


「ブン太先輩!」


「え?」


俺が後ろを振り返る前に遊佐は、丸井先輩に駆けていた



「先輩っ、授業お疲れ様です!」


「おう、おつかれぃ。まっ、俺のクラスは調理実習で全然疲れなかったけどな!」


「あ、調理実習だったんですか!?じゃあこれ、いりません?」


そういって遊佐はポケットの中から袋を取り出した



「いるいる!いつもありがとな!」


丸井先輩は笑顔で受け取りながら中身を取り出した

「飴かよぃ?袋的に手作りのクッキーとかだと思ったぜぃ」


「手作りですよー!おじいちゃんに教わって作りました」


「お前すげぇな!また作ってくれよな。シクヨロ」


丸井先輩はジャッカル(先輩)と一緒に部活に向かった


それを見送る遊佐の後ろ姿を見て、抱き着いてみたいなんて、変態か俺は


「……行っちゃった」

残念そうに俺の方へ戻ってくる



「手作りキャンディーとかすげぇなお前」


「み、見てたの!?ばかっ」

「ばっ、見えるだろ普通!」

「もぉ……」


頬を膨らますこいつも可愛いなんて、重症だなマジで


「……な「そういえばね!」」




…………聞いてくれよ




「はいっ赤也にもあげる」


押し付けられた袋には飴が入っていた


「それ余りだから。あー今日もブン太先輩イケメンだったなぁー!もう大好き!!」


「告白とかしねぇのか?」



「しないしない!脈無しだもん。今はまだ見てるだけで幸せなのっ」


「ふーんそんなもんかね」


「赤也にはわかんないよーだっ」


「てめぇ……」


俺にだって分かる


あの人を見るお前の


燃える瞳の奥に隠してる不安と


関係を崩したくないっていう思い


でも残り物の飴じゃ嬉しくない

テニスの見学だって俺を見ていてほしい


全然満たされねぇんだよ


こんな関係


だから





「……見てろよ」


「ん?なんか言った?」


俺は遊佐の手首を掴み叫んだ




「絶対振り向かせてやる!!」



俺の瞳だって、燃えているんだ







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