じりじりと暑い夏。
少年探偵団は阿笠博士と共に海に来ていた。
砂浜を走る子供達。
「わー!すっごい人!!」
「早く泳ぎましょう!!」
一目散に走っていく子供達に準備運動をするように促す阿笠博士。
元気良くそれに返事をして一緒に準備運動をし始めた。
「よし、じゃあ今度こそいこーぜ!」
再度海へ走り出した歩美、元太、光彦の後ろを笑いながら付いていくコナンと微笑ましそうに頬を緩めてそれに続く灰原。
海へ入って遊び始めて暫く経った頃。
人も多く歩美がはぐれてしまった。
「皆どこ?」
いよいよ泣き出しそうになった。
「お譲ちゃん、どうしたんだい?」
「え?」
長い髪を緩く結んだ女の人が話しかけた。
白いTシャツにショートパンツという格好に係員の腕章をつけている。
「迷子?」
「うん、皆とはぐれちゃって…」
「そうか、じゃあ呼び出しアナウンスを掛けてあげるよ、ついておいで」
「うん!」
歩美の手を引いて歩き始め本部に向かう。
少し歩いた頃、歩美を呼ぶ声がした。
「歩美ー!!」
「あ、コナン君だ!!」
「コナン君?」
歩美を見つけたようで向こうから走ってくる少年少女と保護者。
「良かった…みつかって…」
「うん、ごめんね…」
「良かったね、歩美ちゃん」
「うん!!お姉さんもありがとう!」
「もうはぐれないようにな」
「はーい!!」
「すいません、ありがとうございました」
「いえいえ、困った時はお互い様ですし係員ですしね」
二,三言話して分かれた。
「捺希!!」
遠くで呼ばれる声を聞いて「じゃあな」と言って声の方へ走って言った。
「全く…もうはぐれんなよ」
「うん…でもお姉さんなんで私の名前わかったんだろ」
「まあ名前呼んでたしそれでじゃないか?」
「そっか」
日も落ち始めた頃。
人もまばらになってきた。
「そろそろホテルに行くかの」
「そうだな、博士」
荷物を纏めてその場を後にする。
駐車場に向かった少年探偵団と阿笠博士。
「あれ、」
「どうした、元太」
「さっきの姉ちゃんじゃね?」
「あ、本当ですね」
駐車場から出てきたのは先ほどの係員。
服はそのままで腕章をつけていなかった。
変わりに腰には長い刀をぶら下げている。
「(あれは、)」
コソリと灰原がコナンに耳打ちをした。
「ねぇ、江戸川君あれって日本刀じゃない?」
「ああ、多分…なんであんなもの」
良く見れば昼間会った時は穏やかに笑っていたが今は冷たく目を細めている。
コナンは思わず肩を震わせた。
「どうしたの、江戸川君」
「い、いや何でもない…」
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