いじめられっこ



何時もはアヤノとシンタローと一緒に帰っているが先生に呼び出されたために捺希は一人で帰っている。
たまには違う道を、と河川敷を通って帰る途中。

「ん?」

声が聞こえた。
何かもめているような声と、聞きなれた声。

「幸助?」

怪訝に思った捺希は声のする方へ向かった。
どうやら河川敷の橋の下のようで。
上からは見えない位置。

そんな所で見たのは信じれないものだった。

輪の中心にはセト。
それを取り囲んで暴行を続ける中学生。

捺希の一つ下。


考えるより先に体が動いた。

走り出して一人を飛び蹴りで吹き飛ばした。
セトと中学生の間に入る。

「おい、うちの子になにしてんだ」

「捺希…さん…?」

周りを睨みつける。


「なんだ、この女!」

「この化け物の仲間か?」


「幸助が化け物?」

「っ」

「はっ本物の化け物て奴をみせてやるよ」


そう笑った。

次々と倒していく捺希。
殴る蹴る。
あくまで向こうの方が多い。
だが強い。
数分後には屍の山が出来ていた。


そんなものは放っておいてセトに駆け寄る。

「大丈夫か?!」

「あ、う、うん…」

「あっ怪我してるし!」


そういってセトの頬の汚れを制服の袖で拭う。

「いたっいたたた!」

「ん、綺麗になった」


制服に付いた汚れをはらって立ち上がる。

「さ、帰ろう幸助」

「うん」

手をつなぎ二人は歩き出す。




「見たところ違う学校のやつらぽかったけど誰だあいつら」

「…昔の同級生」

「あ、そうなんだ」

「あの、ごめん」

「何が?」

「迷惑掛けて」

「私が勝手にやったことだし気にするな」

「でも」

「んーじゃあ謝るよりありがとうがいいなぁ」

「えっ」


照れくさそうに小さくありがとう、と言ったセト。



「ね、捺希さん」

「ん?」

「僕、いや俺強くなる」

「おーがんばれ」

「守られてばかりじゃなくて捺希さんを守れるくらいに強くなる」

「…そうか」

そう言って捺希は笑った。

















「はー…」

「どうかしたんすか?」

「いや、あの頃の可愛い幸助はどこいったんだ」

「いや、流石に女の人に何時までも守られてるわけにはいかないっすよ!」

「そうだけど…」


じー


「なんすか」


「いや、まああの可愛かった幸助が此処までイケメンになるとは、と感心してた」

「…えっ!?」


いじめられっこ
(ねぇ、キド?)
(なんだ?)
(なんでセトはあんなに上機嫌なの?)
(またどうせ捺希さん絡みだろ)
(あ、やっぱり?)
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