全ての男の斬撃を受け流す。
一度も捺希にはかすることすらしなかった。
相手も決して弱いわけではない。
ただ捺希との力量が違いすぎる。
「くそっ」
当たらない事に段々いらだつ容疑者の剣は乱れてきた。
「あんなんじゃ捺希にゃ掠り傷さえつけられねーよ」
「何なんだ…」
「ん?」
「一般人の出来ることじゃねぇ…一体何者だ?」
一度腕の中のコナンを見てもう一度捺希に視線を向ける。
自称気味に笑う。
「ただの、高校生だ」
「…」
そんな銀時の表情を見て何も言えなくなったコナン。
「お、そろそろ決着付くんじゃね?」
捺希の方を見てみれば相手の息は完全に上がっていた。
それに比べて捺希は一切息を乱していない。
「なんで、」
「なんで?そりゃ単純に力量の差」
「くそ」
容疑者は捺希に向かい刀を振りかざす。
取ったと思った瞬間振り下ろしたところに捺希は居なかった。
何処だと見渡すが見つけるより先に捺希は後ろに飛んでいた。
そのまま高い位置から木刀を振り落とす。
地面に沈んだ容疑者。
その光景にその場に居た全員が息を呑んだ。
「ったく危ないもん振り回しやがって…」
「お疲れさん」
「ん」
その後警察が後始末をし、容疑者は気絶したまま連れて行かれた。
パトカーを見送った後少年探偵団の子供達が駆け寄った。
「お姉さん強ーい!!」
「すっげぇ!!」
「仮面ヤイバーみたいでした!!」
「そうか?」
「そうですよ!!」
わぁわぁと騒ぐ子供達。
捺希も少し嬉しそうに相手をしている。
「相変わらず子供好きだな」
「えっ」
「いんやなんでもねぇよ」
「つかいつまで抱っこしてるつもりだよ!」
「おー悪い悪い」
やっと銀時の腕から開放されたコナン。
警戒は完全には溶けていないがなんだか憎めない。
子供たちの相手をする捺希があまりにも穏やかで。
「江戸川君、」
「灰原か」
「で、どうなの彼等」
「あー…悪い奴には見えねーよなぁ」
「…そうね」
(変わった奴等…)(でも、)
小さな探偵
(本当にあの子達に会ったら事件に巻き込まれたね)
(まあ、あのコナンくんだし?)
(そうだな、)
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