望む



「あれ、さぼり?」

捺希が見つけたのは黒い隊服に身を包みいけしゃあしゃあと団子を食べながらお茶を啜る沖田。
沖田はまあねィ、と頷く。
相変わらずだな、なんて笑いながら沖田の隣に座った。

「捺希姐さんじゃないですかィ」

旦那は?と聞く沖田。

「ん?家にいるぞ?」

「珍しいですねェ一緒にいないの」

「そうか?」

そう言って捺希も団子を頼んだ。

「というか総悟君はよくさぼってるの見るんだけど?」

「気のせいでさァ」


「まあ総悟君も遊びたい盛りなのに仕事だもんなぁ…そりゃさぼりたくもなるわな」


そう言って苦笑いを浮かべる捺希。
それに沖田は別い嫌いではないから苦ではない、そう言った。

「えらいな…」

くしゃくしゃと沖田の頭を撫でる。
嫌がるどころか満更でもないという顔の沖田。


だがそんな和やかな雰囲気も壊された。

「真選組一番隊隊長 沖田総悟だな!」

「その命頂戴する!!」

攘夷浪士に囲まれた。
わりと人数が多い。

めんどくさそうに沖田と捺希はため息をついた。


その場はいつの間にやら乱戦となっていた。
捺希も参加。
ただ丸腰のために完全に殴る蹴るで応戦している。

周りは死屍累々。

切られた浪士と急所に一発入れられて沈んでいる浪士達が転がっている。


あっという間に全滅させた二人。

沖田は土方に連絡を取っていた。


地に伏せていた浪士の一人が後ろから捺希に襲いかかった。

一瞬反応が遅れた。

沖田は電話を放り捺希の所へ駆ける。

だが間に合わずに捺希の上に刀は振り下ろされた。

「姐さん!!」


切られた、そう思った。

だが振り下ろした先に捺希の姿はない。
その浪士の後ろに回り込んで回し蹴りをし吹き飛ばした。


「奇襲なんざ百年早いわクソガキが」


そう笑う。


沖田は気が抜けたように安心したような泣きそうな顔をしていた。


「姐さん…」

「総悟君?どうした?」

「…良かったでさァ…姐さんが無事で」

「え?」

「また大切な姉(ひと)を失うかと思った」

そんな泣きそうな沖田にばかだなぁと笑う。

「私があんなやつに負けるわけないだろう?」

そう言って両手で沖田の顔を掴む。
笑う捺希に沖田も眉を寄せて笑う。

「たしかに」




もう二度と失いたくないと。


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