面倒ごとと事件は向こうからやってくる
とあるデパート。
休日というのもあって人で溢れ返っている。

その中に不機嫌な顔をしている男がいた。


「晋助…顔が怖いことになってんぞ?」

「うるせーよ」


どうどうと宥める捺希。

人の多さにどうやらイラついているよう。


「なんで俺なんだよ…クソ天パでも良かっただろーが」

「まあまあ、たまにはいいじゃないか」


晋助だって捺希と出かけるのは嫌じゃない。
ただ人が多いところが苦手なだけで。

舌打ちをして前を歩き出した。


「買うもん買ってさっさと帰んぞ」

「あ、ちょ、まてって!」


捺希も後を追う。




「で?何買うんだよ」

「んーそよ姫に頼まれたんだよ」


「そよ姫…?ってあの元将軍の妹で現天皇の妹のか?」

「そうそう」

「で?その天皇の妹は何を頼んだんだァ?」

「あぁ限定の酢昆布」

「は?」

「いやだから限定酢昆布」

「んなのどこでも買えんだろ、何でわざわざデパートまで来んだよ」


呆れ顔で捺希を見た。
それに対して仕方ないだろ、と言う。


「デパートで選りすぐり世界の珍味展っていうのがあんだけどな?そこに限定のやつが売ってんだよ」

「…酢昆布って世界珍味になるのか?」


ちなみに何の味だよと呆れる。


「…ホンオ・フェ」

「なんだそりゃ」

「エイの刺身味」

「…珍味だな、確かに」

「だろ?」

「つーか姫様なんでそんなゲテモノ頼んだんだよ…」

「好奇心らしい」


高杉は口角をひくつかせた。


「私も個人的に欲しい物があるし」

「?」

「サルミアッキっていうんだけどな」

※サルミアッキ=フィンランドの飴。世界一不味いとされている。
見た目はひし形の黒色。少し色がのどくろに似ているが味は似ても似つかない。

「おい、それ確か世界一不味い飴だろ」

「ああ」

「…」


微妙な顔をして捺希を見た。
もしかして食べるのか?と意味をこめて。


「いや、私は食べないけど悪戯用に?」

「…もしかして」

「ああ、主に大串くん用に」


だろうと思った、と目を細めた。

「(昔っから悪戯好きだったな…)」

少し楽しそうにしている捺希を見ていけ好かない真選組(主に土方)をひそかに哀れんだ。
ちなみに昔捺希の悪戯の被害者だった高杉。
思い出して引きつった笑みを浮かべて遠い目をした。


「あ、ここだ…」

いつの間にか選りすぐり世界珍味展コーナーに入っていく捺希に呼ばれる。

「晋助!はーやーくー!」

「あ、おう」


続いて高杉も入っていった。

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