面倒ごとと事件は向こうからやってくる

あれやこれと目的の物を買った捺希。
その横では本当に買うのかよ…と呆れてる高杉がいた。
高杉は途中大串(土方)に投げつける用として沖田にプレゼントしよう、とシュールストレミングを手に取った捺希を流石に止めた。
高杉は真選組は好きではない。
むしろ嫌悪するほどだがシュールストレミングは流石に同情した。


「なんだよ、荷物くらい自分で持つのに」

「いーんだよ」


自分で持つと言った捺希の買った荷物を奪い取った。

ぶーぶーと文句を言う捺希にデコピンをする。

「あいた!」

「甘えてばっかだったんだ、たまには俺にも甘やかさせろよ」

「…くそっイケメンに育ちやがって…!」


恨めしそうに睨む。


「ほらさっさと帰るぞ」

「うい」

「俺は銀時に見つかる前に帰りたいんだよ」

「なんで?」

「うるせェだろアイツ」

「そう?」

「あァ…」


ぶーぶーと文句を言いながら捺希に引っ付いている銀髪天パを連想して舌打ちをする。
捺希はどうしたのかと首を傾げた。


「なんでもねェ…」

「?おう」


歩き出した高杉を追う。
だが直ぐにも足を止めた。

同フロアに響く劈くような悲鳴。

その悲鳴に周りの人は何事かとざわめいた。


「何だァ?」

「あ、なんか嫌な予感…」


高杉は煩わしそうに眉間の皺を寄せた。
人相は何時もの3割増しで悪い。

一方捺希は面倒ごとに巻き込まれるんだろうな、と目を細めた。


そんな二人の横を小さな影が走り去っていく。


「ん?」


小学生位のメガネをかけた少年。
迷わずに悲鳴の聞こえた方へ向かっていった。

後ろから体格の良いおじいさんと少年少女が誰かを探しているようで辺りを見回している。

その中に捺希は見覚えのある少年を見つけた。


「あ」

「どうした捺希」


高杉は首をかしげる。


「あー!!!」


向こうも捺希に気がついたようで走りよってきた。


「捺希さん!」

「おー!たしか、光嶺くんだっけ?」

「違いますよ!光彦です!」

「そうそう、光くんだったね」

「いやだから光彦です…」


そんなやり取りをしていれば女の子がこのお姉さんだれ?と首を傾げる。

光彦は女の子達に説明をした。


「この間助けていただいたんですよ」

「あ、もしかして旅行の時の?」

「はい!」


あの時は本当にありがとうございますと頭を下げた。
捺希は気にするなと笑う。


「ところで光彦君の友達?」

「はい!」

「私歩美です!」

「俺は元太だ!」

「哀よ…」

三者三様の自己紹介。


「私は捺希だ、んでこっちが晋助」


不機嫌そうにしている高杉の腕を引っ張る。
捺希はよろしくなーと笑った。

最後におじいさん。


「ワシは阿笠じゃ」

「よろしく阿笠さん、ところで誰か探してるようだったけど…」

そういえばそうじゃった!と慌てる。


「この子達と同じくらいの男の子を見なかったかのう…」

「この子達位…もしかしてメガネの?」

「ああそうじゃ!」

「だったら向こうに走っていったぞ」

捺希がそう言うと悲鳴を聞いて走り出してしまったと苦笑いで話す。

お礼をいって阿笠たちはその少年を追っていってしまう。

その少し後にデパートの出入りが制限されてまた高杉の機嫌が悪くなった。


 
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