*12年後捏造半間です。完全捏造で外観はロングになっております(原作の髪をおろしてた時のです)苦手な方はバック




仕事から帰宅してみたら、修二の気配は無い。どこか出かけてるのかな。
なんて思いながらバッグを置いて、手洗いなんかを済ませて着替えようと思ってクローゼットの置いてある部屋に行くと、ベッドからはみ出している修二の足先が目に入った。
ベッドからはみ出しているのは修二の身長が高すぎるせいだ。修二が住み着くようになって『買い換えようか?』と言ったけれど、修二は「別にこれでいーだろ。」なんて言って結局そのままだ。

静かにクローゼットに着替えた衣服をかけて、部屋着に着替え終わると思った時。
「…んー…」と気だるげな声が聞こえる。
起こすつもりは無かったんだけど、修二は人の気配に敏感だ。
これでも私に対しては無防備らしいけれど、音を立てたつもりは無いけれど修二は、長い髪をかき上げながらうつ伏せのまま私の方を見て笑う。

微笑ましい光景なのだろうが、修二に問いたい。枕元にある札束が一体何なのかと。
そういうのは慣れたけど、食事が用意されていない。
修二は「俺主夫になるわー」とか言っていたが、適当過ぎて大体料理なんて用意されていない事が殆どだ。

まあ、いいけど。


『修二ーそのお金どうしたの?』

「んー?稼いできたー。」

『あー…そ。』

「何?気になんなら答えっけど。何で名前機嫌わりぃの?あーーー言っとくけど女関係とかじゃねえしー。」

『知ってるけどそれは。せめてテーブルとかに置きなよって言いたいだけ。』


そう言って私が修二の寝転んでいるベッドに座ると、修二はベッドサイドにある煙草とライターに手を伸ばし、それを手に取ると身体を半分ほど起こして煙草に火を着けた。
換気扇の下にしてよ、と言いたいけど大体言っても無駄だ。

ぼんやりと煙草を吸ってる修二を私は無言で見ている。
友達の彼氏紹介される時。本当なんていうか。まともな人だなあなんて毎回思う。
別に私は友達に修二を紹介するつもりはない。ただ。一緒に住んでる人は居るとは答えている。
理由は簡単でシンプルだ。修二と私が居て互いが納得してればそれでいいから。
友達みたいにインスタにツーショとかあげたいとも思わない。
負け惜しみじゃなくて、シンプルに思うだけ。

煙草を吸ってる修二の指先は長くて綺麗だ。
手の甲の刺青も。
気だるげな表情も、ああ、なんて言うんだろう。
さっきかき上げた髪も半分顔にかかっていて。

シンプルに色気が凄いって言うのだろうか。
何だろうなあ。本当。私別にこんな変わった人好きになる趣味なんて無かったのに。
けど。抗えないんだよね。自分の底から湧いて来る気持ちに。
そう思って居たら修二がけらけらと突然笑いだして、吸いかけの煙草を消して、
私を引き寄せてベッドに押し倒した。


「すーげえエロい顔して俺の事見るじゃん。」

『…そういうんじゃないって。』

「シたくなった?寝起きでだりぃけど、いーぜ。」

『修二、それよりさあ。ご飯用意してくれて無いじゃん。残業だったんだけど。』


そう言うのは照れ隠しだ。本当住んで何年になるんだろうって言うのに。
ああ、もう。素直になれないなあ。けど食事が用意されて無かったのは事実なのだ。
長い髪が垂れて、修二の目と視線が合う。
くらくらと、よろけていく感覚がする。
あーあ。もうこれ絶対流されるルートだ。


『…お腹空いた。』

「どーせヤったら腹減るし、終わったら飯いこ。」

『ご飯用意してなかったのごめんとか無いの?』

「ばはっ…ごめん?やだー。
気持ちよくしてやる。それが詫びでいいだろ?」

『本当どうしようもない男だなあ。』

「そんなどうしようもねえ男が好きなのはだーれ?」


そう言って修二は私の唇に唇を重ねた。
さっきまで吸っていた煙草の香りがふわりと私の顔の周りに充満する。
この匂い、煙草臭いはずなのに嫌いになれない。
修二の首筋に両手を絡めて、私はどうしようもない男を好きになっちゃったんだから仕方ないな。なんて思う。

唇を何度も重ねていると、不意に唇を離した修二が言う。


「どうしようもねえ男が好きなのは名前。お前なー。」


そう言って修二は私の首筋に顔を埋めて首筋にキスをした。長い髪がかかってこそばゆい。そんな事知ってるよ。
じゃないと、修二はここに居たりしないでしょう。
だけど、進歩したなあ。こういう事言うようになったのは2年経過してからだから。
私はこそばゆい感覚と、これから与えられる快楽に期待しながら瞼を閉じる。


ねえ、修二。触れて、触れて。
罪の入った手で。罰の入った手で。
私はその手が欲しい。


ああ、もう何が主夫なの。本当適当な人。
だけど、私はこの適当な人を愛してる。
きっと、言わないけどこの人も私を愛してる。
なら、私達は今を生きるだけ。


用意してなかったご飯のごめん、の代わりに精々酔わせてね。





end



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