*執筆時最新刊登場キャラが出て来ますので注意です。それと裏描写を含みます。(大分直哉君がSな描写なので嫌いな方はご注意下さい)





少し位自由を満喫したって良いじゃないか。そう思うけれど私は目の前の相手に対してそれを言う事は無い。言うのは利口では無いからだ。目の前に居る直哉さんは玄関の扉の淵に手を着いて不機嫌そうに帰宅した私を見ている。帰宅した私に直哉さんがなんて言うか私は幾つか予想がついた。

「何時やと思ってるん?」

予想通りの言葉に、用意された言い訳が口をついてしまったがこれは不正解だっただろう。言った後に後悔した。

『電車に乗り遅れて…22時になりましたね。』

「は?タクシー乗ったらええやん。そんなもん。電車移動とか効率悪いわ。金なら渡してるやろ。」

直哉さんとはまだ金銭的価値観が違うんですよ。そう喉の奥までせり上がって来た言葉こそようやく飲み込んだ。ため息を吐いて明らかに不機嫌そうにしているこの人に対してこれ以上口を挟むのは利口ではない。だから、『そうですね。』とだけ返した。

禪院直哉、この人がどういった理由で私を気に入ったのかは分からないが、私がその問いをする前には私は自分の生家に居なくなってこのだだっ広い禪院家が私の家に代わって居た。「今日から、名前ちゃんは俺のもんやから。」そう言って意地悪げな表情で笑う直哉さんが居ただけだ。ここに来てからというもの、直哉さんの言う事は絶対になった。
そもそもこの家に来る事が決まった時両親は大層喜んで居たし、直哉さんの立ち位置は理解していた。つまり、結論はこの人の機嫌を損ねるのは利口ではないという事。
だけど、私は多少の外出は許されていた。それで、久しぶりに友人と会って食事をしたりしていて時間を忘れていたのだ。
ため息を吐いて直哉さんは私を玄関の中に入れてくれた。というよりも呆れたように自分で中に入った。直哉さんは私が靴を脱ぎ終わると「風呂入ったら俺の部屋来てな。分かってるやろ?」そう言ってスタスタと長い廊下を歩いて行ってしまった。

ああ、嫌だ。そう思いながら素直に浴室へと向かう。直哉さんがこういう呼び方をする時、大抵酷く抱かれるから嫌なのだ。だけど私は素直に浴室で身体を洗って支度して直哉さんの部屋へ律儀に足を運ぶ。なんだかんだ言いながら私は嫌味を言って来る、俺様の塊のようなあの人が嫌いではなかったからだ。『直哉さん、名前です。』そう言うと「入りや。」と小さな声が扉超しに聞こえた。
正座して直哉さんの前に座ると、直哉さんが読んで居た本を閉じて私の手を引いて雑に布団の上に放り投げるようにした。

「なあ、もう外出許可も無しにしてもええって事なん?」

『…それは…』

「ええんやで。この家の中にずっと閉じ込めとっても。あかんやろ?俺の事こんなに待たせて。なあ、名前ちゃんは誰のもんなん?」

『…直哉さんのです。』

「はぁ…それ分かって言うてないやろ。分かってたら今日みたいな事せんもんなあ。
何回でも分からせて欲しいん?こうやって。」

直哉さんは私の上に覆い被さって私の首筋に舌を這わせた。直哉さんはそのまま私の簡単に着付けた就寝時に着る薄い着物の帯をしゅるりと解く。蛍光灯の下露わになった私の身体をまじまじと見られて気恥ずかしい。これだけは慣れない。この人は絶対にこういう時に電気を消してはくれなかった。首筋から舌を這わせて、胸元をわざわざじれったく直哉さんの舌が往復する。直哉さんの背中に甘えるように手を伸ばしてその背中を包めば変に愛おしい感情が芽生える。この人は、私がそうすると喜ぶ。だからしているのではない。何度も抱かれるうちに、勝手に私の身体は直哉さんを求めるようになった。

『んっ…はぁっ…な、おやさん…』

「何気持ち良くなっとん?あかんやろ。お仕置きやで、これ。」

そう言われても素直に身体は反応してしまうのだから仕方が無い。直哉さんは私の脚を開かせて、「じっとしときや。」そう言って小棚からピンク色の小さな器具と禍々しい男性器の形をした大人用玩具を出して電源を入れた。その機械音を聞いて脳の裏で警笛が鳴る。自分の行動を後悔しても時既に遅しなのだがどうにかそれだけは回避したかった。

『…直哉さん…それ、嫌です。』

「お仕置きやって言うたやろ。それに、玩具でも喜んでしまうんは誰なん?
これして欲しくてわざわざ俺怒らせてるんちゃうん?」

『直哉さん…お願い…ですから…』

「聞けんなあ、そのお願い。」

そう言って直哉さんが禍々しい男性器の形をした玩具にだらりとローションを垂らして私の開かれた脚の間からまだ濡れきっていない私の中に沈めて行く。凄まじい圧迫感で声が出ずひゅうっと喉が鳴って勝手に身体がのけぞる。『待って』の言葉も言えないまま、焦って直哉さんの方を見るも顔面に怒りを張り付けている直哉さんは無慈悲にその玩具の電源を入れ、もう一つ既に電源が入っている方の小さな玩具を私の下の突起に宛てた。
機械的刺激が与えられる度に脳が麻痺して行く。普段の行為とは違う麻痺の仕方をしていく。

『あぁあっ!や、やだ…あぁんっ…ひ、あ、や、やぁっ』

「嫌ちゃうやろ、びっしょびしょやんここ。垂れて来てんで。」

『あ、っ…は、ぁ…あぁんっ…なお、やさ…んっ』

「しかもそんな大きい声出して説得力0やろ。」

直哉さんが奥へ沈めた玩具をぐりぐりと動かして行く。ああ、駄目だ。麻痺していく。奥からぴしょぴしょと愛液が溢れて来ているのを感じる。強い尿意にも似た感覚が訪れ始めた。下の突起もヒクヒクと震えている気がする。もう駄目だ。

『や、ああっ…なおやさ…あぁんっ、は、あ…出ちゃいます…ああっ…イっちゃう…
お願いやめ…ああっ…イク…あ、ぁあんっ…!!』

身体をのけぞらせた瞬間直哉さんがタイミングを見計らったように玩具を引き抜いた。
そうしたら私の中から透明な液体がぷしゅ、ぷしゅと音を立てるように勢いよく飛び出してしまう。ひくつく身体のまま、私は必死に身体を起こした。何をするべきか理解しているからだ。ガクガクと体が震えて力が入らないまま四つん這いで這うようにして直哉さんの袴に手をかけて、紐を解いて行く。そして直哉さんの硬くなっているものを取り出して私は整わない呼吸のまま直哉さんのをぱくりと咥えた。そして必死で舌を這わせる。

「今イったとこやのにもう欲しいん?」

直哉さんのを必死に喉の奥手前まで咥えて直哉さんを見上げながら頷く。
大概なのは、直哉さんだけでなく私なのだ。直哉さんに何度も教え込まれて直哉さんの好きな舐め方は私の身体に沁みついている。口内に広がる苦みのある液体を飲み込みながら私はこの先を必死に求めた。

「…はぁっ…名前ちゃんもうええで。上手に出来たからご褒美あげるわ。」

そう言って直哉さんは私の頭を掴んで腰を引いて私の口の中から直哉さんのを引き抜く。
私の口端からはだらりと自分の唾液と直哉さんの精液が混ざったものがだらしなく垂れる。そして私の肩を押して私を布団に再度押し倒した。そして直哉さんは上に着ている衣服を簡単に乱して羽織っているだけの状態にして私の脚を開かせて硬い直哉さんのモノを宛がった。

「名前ちゃんええ子やからもうこんな事せんよなあ?最初に言うたよな。俺のやって。
やったら俺の言う事聞いて素直にこうしてたらええねん。」

そう耳元で囁いて直哉さんは間髪を入れずにいきなり奥に直哉さんのを沈める。
大きな玩具を咥えていた筈なのに直哉さんのを受け入れて再度圧迫感が下腹部に与えられる。ああ、こっちの方がよっぽどいい。直哉さんはゆっくり腰を動かして行く。

『あっ…あぁっ…は、あ、きもちいいです…あぁっ』

「なあ、言うてや。名前ちゃんは、誰の?」

『あぁんっ…私は、直哉さんのものです…あっ…あぁっ…』

「そうやんな。やったらもう帰り遅くなるんは無しやで?分かってる?」

『あっ…は、あ…分かって、ます…あぁんっ…なお、やさ…んす、…き』

「っ…よく分かってるやん?いい子やで。俺の名前ちゃん。」

結合部からいやらしい音が響く。気が触れそうだ。また私は必死に直哉さんの背中に手を回して必死に縋り着く。快楽に溺れながら出て来る好きと言う言葉に嘘は無い。
直哉さんの名前を何度も呼びながら、好きです、と漏らす事しか出来ない私を見て直哉さんは気をよくしたようで私の頬を撫でた。
ああ、ダメだ。また奥がきゅうっとなって達してしまいそうになる。

『あっ…あぁんっ…なおやさ…ん、すき、好きです、またイッちゃう…は、あっ…あ』

「いきなり締めんなや…あかん、俺も出そうや。なあ、いっぱい出してやるから零しなや。」

『あぁんっ、や、あ、い、イク、いっちゃ、う、ああんっ…!!』

「っ…んっ…は、ぁ…」

直哉さんがぎゅうっと収縮している私の中に熱い精液をドクドクと注いで行く。
私は麻痺する身体で呼吸を乱しながら、直哉さんをぼんやりと見つめて居ると初めて今日唇にキスを落とされた。そして直哉さんは私の身体の上に体重を預けるようにして崩れ落ちた。

「…あんまり心配かけんといて。」

そう呟かれた言葉にこくこくと頷きながら私は直哉さんの背中を撫でた。
寂しがる子供のような事をこの人はこうして時々言うものだから、愛おしくなるのだ。
明らかに、どうしようもない人なのだけど私は好きでいる。
私の身体も思考回路も大概どうかしている。




end title「溺れる覚悟」様より







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -