*裏表現がありますのでご注意
曲に合わせて亜久津のみ19歳の設定にしてあります。










「なあ、名前。その口紅似合ってねえな。」

『何?赤、好きでしょう。』

「…まあな。っつうか、似合ってねえけどそそる。」

そう言って仁は私の髪をぐしゃぐしゃに乱しながら激しくキスを繰り返す。
ふいに唇を離すと、仁の唇に私がさっきまで塗ってた毒々しい赤色がうつっていて、
私のお腹の底でスイッチが入ってしまった。
本当は、髪セットして来たんだけどな。けどいいや、仁が乱してくれるなら。
そんな事を思いながら仁の筋肉質な背中に手を伸ばす。
キスをしながら服を脱がせるのって難しいなって思ってたら、じれったくなったのか仁が着てた服を乱雑に脱ぎ捨てて私の部屋のフローリングに放り投げた。

気が付けば私が着てたブルーのスカートもくしゃくしゃのまま、フローリングに転がってるのが横目に入った。
ああもうでも、どうでもいいや。
私のブラウスもボタン一個飛んじゃってるし、何も考えたく無い。
仁の激しいセックスが好きだ。
だから私はいつも仁が来てる時はわざと真っ赤なリップを塗る。
落ち難いタイプのリップにして、仁の首筋に色をつけたい私の気持ちを仁は知らない。


『…や、だせっかち…まだ…んんっ』

「はっ、もうこんなんなってんじゃねえか。
欲しいんだろ?言ってみろよ。」

『…欲しい、よ。頂戴?』


そう言うと仁は満足げな表情で笑ってまだ慣らしもしていないそこに入り込んで来る。
足首を掴まれて強引に足を開かれて、激しく突かれていれば頭の芯から痺れていく感じがしてたまらない。
ああ、気持ちいい。もっともっと。
大体、こんな風になるのって私盛ってるの?
動物にある発情期っていうものがもし人間に存在してるとしたらまさに今なんだろうな。
いつだっていい。これが欲しい。


『ああっ、ひ、あ、い、いおかしくなるっ』

「…っいいじゃねえの…余計な事なんかぶっ飛ばしちまえよ。」

『や、やだいきそっ』


苦しくて仁にしがみついていると、わざと仁は煽るように私のいい所を突いて来て。
きゅうっと締まった子宮が解放してくれと震える。
身を任せてみっともない声を上げて達した私を見て仁はふっと笑う。
そうだねえ、私は馬鹿だねえ。
息を整える余裕を与えて貰えず、再び開始する律動に身を任せながら私は思っていた。
私達は、忘れたいのだ。何もかも。
仁が達したのを感じたとき、私はただ仁の背中に手を回してそっと背中を撫でた。
ほとんど無意識のつもりの行為だったのに、何やってんだなんて言われても答えようがない。


『…何か、したくなったの。』

「ガキ扱いすんじゃねえよ。」

『してないよ。』


そう言うと仁は大きな身体を私に預けるように崩れ落ちた。
後の処理なんてどうでもよくなっちゃって。
私は意味もなく仁の背中をそっと撫で続けた。
何が悲しいんだろうこの人は。
そんな事がふいに頭に浮かぶ。一度も仁はそんな事言った事がないのに。


「なあ、19歳なんて中途半端な年齢だよな。」

『それ、一年前も言ってたじゃない。』

「いやなんかだりぃ今全部。」

『私…もそういう時期あったかもね。もう忘れたけど。』

「なあ、そういうのって消えんのか。」

『消えるっていうより、上手に消化出来るようになるよ。』


ふと思い出す。そういえばあったな。そんな時期なんて。
20歳っていう大人のラインにも乗れず子供って呼べる年齢でもない。
そしてその頃考える事なんて、本当に解決しようもない事ばかりで。
それに延々と悩まされる。
きっと誰もが通る道じゃないだろうか。

だけど、仁は見かけによらず弱いから。
きっと今苦しいんだろうな。
ああ、愛おしい人だ。


「なあ、何で名前は俺に付き合うんだよ。
自分でも自分の事がうざくて仕方ねえっつうのに。」

『そういう所を愛しているからだよ。』

「なあ、お前って死ぬ程綺麗な女だよな。」

『あはは、そんなの言われた事ないよ。
超普通だもん。』

「いや、綺麗だ。」


だから、汚したくなんだろうな。
仁が静かに呟いた言葉に私は言葉を返す事はしなかった。
いいよ、美化してみていてよ。
君が思ってるよりずっと汚い大人を。
ねえ、仁。
君の首筋に少しついてる赤が凄い好きだよ。
本当はさあ、消えるものじゃなくて。キスマークなんて陳腐なものでもなくて。
何か残してやれたらいいなんて思ってるのを仁は知らない。


end

19才 スガシカオ











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