学生のおサイフの味方、マジバでシェイクを飲む。向かい側の席には、青峰。ひさびさに会うけど、やっぱりでかいな、なんて考えながら、ハンバーガーにかぶりつく彼のポテトを一本取った。
「お前、今からでも桐皇来いよ」
口の中のものを流し込むようにコーラを飲んで、青峰が言う。意図を図りかねて、とりあえず私もシェイクに手を伸ばした。
「いまさら、どうしたの」
中学時代、私の進路になんてこれっぽっちも興味を示さなかったくせに、本当にいまさらだ。たとえ青峰があのとき誘ってくれたとしても、私は結局海常にいただろうけれど。
「神奈川遠い。あと黄瀬と一緒なのが気にくわねぇ」
飲み終わったドリンクの、ストローの先を噛みながらそう言われて、私は少し、返答に困る。そんな、まるで嫉妬してるみたいなセリフ、らしくないじゃないか。
「桃井ちゃんいるんだからいいじゃん」
「お前がいい」
思いがけずストレートな一言に、どきりとした。あの奇妙な告白から一年、お互い好きだとか、そういう恋人らしいセリフとは無縁だったのに。どうして、いまさら。
「浮気なんてしないから安心してよ」
「当たり前だ、したらぶっ殺す」
「私を?」
「相手の男」
なんだかよくわからないけど、青峰のことが好きだと思った。なんだ、これでもちゃんと、両想いだ。それなら、私が口にするべき言葉はひとつだけ。
「好きだよ、青峰」
青峰がまぬけな顔をしてドリンクの容器を落としたので、私は笑った。