(2年 夏)
「荒北は、なんていうか、薄っぺらいよねぇ」
「はァ?」
「あ、別に人間性がとかじゃないよ?」
「あったり前だボケナス!!」
「スポーツやってるにしては胸板とかその辺が」
「そーかァ?」
「脚とか腰とか細くて正直羨ましい」
「急に触ってんじゃねぇヨ!!」
「うわ、びっくりしたぁ」
「それはこっちのセリフだヨ!!」
「ゴメン、ゴメンって!ちょ、くすぐったい!」
「お前も十分細いだろォ、なまえチャン?」
「あはは、ありがとお!だからもうやめて!!」
(1年 春)
「あ、荒北、そこの式間違ってる」
「……どこだヨ」
「上から五行目。そのままだと答え相当ズレるよ」
「あー、ココかァ。つか、何でお前文系のくせにパッと見でわかんだヨ」
「だって私、高校のとき理系だったもん」
「それで大学は法学部たァ、珍しい話だな」
「理系の仕事したい訳じゃなかったし、それなら法学とかやっといた方がいいかなって。ていうか、私もその授業取ってるし、そりゃパッと見でわかるよ」
「はァ!?」
「あれ、やっぱり気づいてなかった?他学部科目の単位認定ギリギリまで、理工の科目履修してるの。荒北ともけっこう被ってるよ」
「そういうこたァ早く言えヨ。次から一緒に受けんぞ」
「なになに、私に教えてほしいの?」
「るっせ、違ぇヨ!」
「わかってるって、ありがと」
(2年 冬)
「やっぱり冬はこたつにお鍋だよねぇ」
「人に灰汁取り押しつけてくつろいでんじゃねぇヨ」
「やだなぁ、ちゃんと材料切ったじゃん」
「そのとき俺も鍋の用意してたと思うんだけどォ」
「細かいことは気にしない気にしない。あ、酎ハイ一口ちょうだい」
「炭酸苦手なんじゃねぇのかヨ、なまえチャン」
「だから一口しか飲めないの。……うわ、やっぱり舌ぴりぴりする」
「だったら最初から自分のやつだけ飲んどきゃいいんじゃナァイ?」
「苦手でもたまーに飲みたくなるんですぅ」
「ハイハイ、そーですかァ」
「あ、鍋煮えてるじゃん!食べよ食べよ」