すぐに読み始めた李玖
昨夜はだいぶ遅くまで起きて読んでたみたいだ
「大切な本だから学校に持ってく訳にはいかないっ」
余程続きが気になるらしい
悔しそうに言った李玖は珍しく学校に行きたくない、とも言っていた
そんな彼は学校終わった途端いつもとは比べ物にならない速さで帰って来て、ただいまの挨拶もそこそこに本の世界へと羽ばたいていった
その結果先程の会話に至る、という訳だ
ずっと読みたかったのだから、夢中になるのも仕様がない
と、頭で解っていても
自分をまったく構ってくれないのは気にくわない すこぶる、気にくわない
26歳のいい大人が子供染みた嫉妬―――しかも本に対してだ―――をしてるとは思う
しかし、放置されてるこの状況は恭にとってかなり辛い
1日我慢した けれど、もう無理だ
これ以上の我慢は出来ない、死んでしまう
李玖が足りなさ過ぎて禁断症状を起こしそうな恭がついに動く
「…………………」
「りーくーちゃーんっ」
「うひゃっ!!……恭さん、何するのさ!」
「べーつーにー」
いきなり後ろから抱きつかれ、李玖は流石に反応を示す
恭の行動の真意が分からなくて首を傾げる
…………まぁ本人が何でもないと言ってるしいっか
気にせず読書を再開したが、恭によってあえなく阻止された
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