「……李玖」



「なにー」



「明日の朝ごはん、どら焼き風みそ汁でいい?」



「うん」



「そこに石灰石いれても?」



「んー」



「……………俺の話聞いてる?」



「うん」




まったく聞いてないだろ、お前


どら焼き風みそ汁ってどんなんだよ
石灰石入ってるとか既に食べ物じゃなくなってるし



ツッコミするべき所は色々とあるのに話を聞いてない李玖は何も言わない



昨夜からこんな感じで言葉のキャッチボールが成立しない


何故なら恭がボールを投げても李玖から返って来るのは気のない返事ばかり


ボールが投げ返されない……というよりも、ボールを受け止めてですらいない



原因は恭だと言って間違いはないだろう


李玖が生返事ばかりなのは、彼が読みたがっていた本を恭が手に入れ、与えたから


可愛い恋人の喜ぶ所が見たくて………



既に絶版となってる本を探すのは中々に大変で、知り合いのコネを使ってようやく手に入れた本


なかば諦めかけていた李玖、それはもう喜んでくれた



「恭さん、ありがとう!」と微笑った李玖は食べてしまいたい程に可愛くて……苦労した甲斐があったと思う



……………………が、良かったのはそこまで