ありえん


人をペテンに掛けようと思っている時点で既にアウトだ


その俺の心が純粋なんだ、と言うなら、
赤也や丸井なんかはかなり清らかな心の持ち主なんだろう


(それこそありえんと思うがな……)




そもそも、この世に純粋なんてものは存在しない


みんな、なんかしらで既に汚れている



澄んだ水、とはよく言うが、澄んでいる様に見えて
実は汚れた部分が必ず何処かにある




人の心なんて、特にそうだ




人には感情がある

感情をプラスとマイナスに例えるなら、
プラスは幸福や楽しい、嬉しい等だろう

逆にマイナスは嫉妬や悲しみ、怒りや憎しみ等だろう



マイナスの感情がある限り、人の心は純粋であるとは言えない


けれど、マイナスの感情が人から無くなる事はそれこそ無い



現に、ここにいる幸村だって見た目は真っ白だが、腹ん中は真っ黒じゃ




「仁王」



「…………なんじゃ?」




ふいに幸村に呼ばれて顔を上げる


そこには、少し困った……けれども楽しそうに笑っている幸村の顔


どうやら俺は少しの間、考え込んでしまったようだ



(……心の中を読まれなくて良かったぜよ…)




「あんまり深く考え込まないでよ?
俺はただ単に思ったことを言っただけなんだから」




だったらそういう事を言いなさんな、とは思っても突っ込まない


たとえ幸村に心を読まれ、言っても言わなくてもたいして変わらないとしても、俺はそれを口に出さない




「フフッ
そういう所、仁王らしいよね」



「…………………………」



「俺が言いたかったのはね?」




俺が返事をしなかったのも気にせず続きを話していく幸村



少し首を傾げて話す幸村の姿を女子が見たならば、おそらく顔を真っ赤にしていただろう








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