小説 | ナノ


小鳥のさえずりが聞こえる。…もう朝か。
ベッドの中でギンギンに冴えた目を擦る。

寝れるわけがない。昨日神威番長に朝迎えに来る、と死刑宣告をされたのだから。
逃げられるならとっくに逃げている。しかし相手は銀魂高校最強の男。結果、私はこうして布団の中で震えているのだ。


びくびくしながらカーテンを開けるが、そこにヤツの姿はない。ほっと息を吐き、着替え始める。
やっぱりあれは嘘だったんだ。



いつものように家を出る。…うん、良い朝「遅い。」

え?今何か聞こえたような。あれ空耳?


「何分待たせるんだい、君は」


家の門に寄りかかっている番長。
な、なぜここに!?


「昨日迎えに行くって言ったでしょ?そんなことも覚えてないの?」


にこやかに毒を吐き、当然のような顔をして私の前を歩く。ちょ、何なのさこの人。


「あー鞄重い。持って」


グイ、と鞄を押し付けられる。これマジで重いんですけどォォ!!


「何で私があんたの鞄持たなきゃいけないのよ!」
「だって俺の彼女なんでしょ?」


いやいや意味分からん。私がいつあんたと付き合うって言った!?


「もし付き合わないとか言ったら、どうなるか分かってるよね?」


にこり、と腹黒さ100%の笑顔でそう言われた。
え、付き合わないわけがないじゃないッスか。喜んで恋人にさせてください!


「それじゃ、これから毎日弁当作りと送り迎えね。ちなみに俺たくさん食べるから量多めで。あと、宿題もやっといて。よろしく」



…この人、彼女の意味分かってるのかな。



彼女兼下僕


090118