小説 | ナノ


朝、学校の下駄箱を開けると白い紙きれが入っていた。不思議に思って中を見ると、放課後裏庭に来いという物騒な内容だった。
…よし、無視しよう。大体恨まれるようなことをした覚えがない。さっさと教室行こ。


クールにスルーしたが、心の中はドッキドキ。いつ教室にのりこまれるか、廊下から鉄パイプを持ったやつが飛び込んでくるかとびくびくしながら一日を過ごした。
しかし無駄な心配だったようで、何も起きずすべての授業が安全に終わった。
良かった良かった、と安心して校門に向かうと前方を遮られた。


「俺の呼び出しを断るなんて良い度胸してるね」


にこりと笑った顔に騙されてはいけない。私の目の前のこの男は、学校で番長として恐れられている。既に隣町の高校までまとめあげているらしい。

ていうか呼び出しって…?朝のあの紙きれの差出人はあんたか!


「まままさかあなた様が私にお手紙をくださるなんて思いませんでしたすいません殺さないで。」


とりあえず謝っておいた。だって私まだ死にたくないし。


「まあいいや。じゃあ俺が呼び出した理由分かる?」


えええ!分かるわけないよ、エスパーでもないのに。そんな難題押しつけないでほしい。


「パシリ「違う」


まだ言い終わってないんですけど。
つーかさっきより笑みが一段と黒さを増してる気がする。気のせいだよね、気のせいだと言ってェェ!



「好きなんだよ、あんたが。だから俺と付き合って」


嘘だ、夢だ、幻想だ!
いい加減正月気分止めようぜ自分。それともあれかな、寝不足かな。


「殺すよ?」


ごめんなさいごめんなさいごめんなさいィィ!!
だからそれ以上近寄らないでくださいお願いします。




「とりあえず明日の朝迎えに行くから。」



生きるか死ぬかの二択。
勿論反論などございません。



唐突に訪れた平凡な日々への別れ


090112