小説 | ナノ

私の彼氏は冷たい。そりゃもう北極(いや南極かも)かと思われるほど冷たい。地球温暖化だと言われている今、彼が唯一それを阻止できるかもしれない。


まず私の1日は晋助を家まで迎えに行くことから始まる。そして一緒に登校。この時注意することは晋助にあまり話しかけないこと。晋助は低血圧で朝に弱い。そのため、話しかけるとイライラする。(ていうか無視される)
クラスはお互い別々なので、下駄箱でお別れ。
そしてお昼は私が作ったお弁当を一緒に食べる。その後晋助はどこかに行ってしまうか、昼寝するかのどちらか。話すことはあまりない。





「それって付き合ってるって言えるの?」


休み時間、お菓子をつまみながら談笑中。ポッキーを口に入れながら友達が問う。
当たり前の質問だ。私自身付き合っているのか不安だ。好きだと言われたことは一度もないし、キスなんてもってのほか。
それでいいの?と言われ、首を横に振る。…いいわけない。私だって好きと言われたい、愛されたい。(要するにイチャイチャしたい)




晋助を教室まで迎えに行く。下駄箱をやりすごし、少し歩いたところで口を開く。



「あの、さ」


なんだ、というように晋助がくるりと後ろを振り向く。ヤバい、緊張してきた。


「晋助ってホントに私のこと好き?」


ドラマでしか見たことがないこの台詞をまさか私が言うことになるなんて。
こんな台詞を言う女は大抵嫌われる。でも、一度でいいから聞きたいんだ。晋助の口から。
時間が急にゆっくり進んだような、そんな気がした。


「嫌いじゃねェ」
「…え、」
「嫌いじゃねェって言ってんだ、何度も言わせんな」


行くぞ、と言って再び歩きだす。ちょ、何それ。私は好きだと言って欲しかっただけなのに。
それでもいつも自分の気持ちを素直に伝えてくれなかった晋助がこうして言ってくれたので、まあ良しとしよう。




090222
お題:確かに恋だった