「がんばるネ銀ちゃん!」
「漢ならバシッと決めてきてください!」
「うるせェェエ!!何ついてきてんだてめーら!」
「「おもしろそうだったから」」
最近見かけた甘味屋に働く女の子に目を奪われたのはつい先月のこと。年齢はさほど変わらないだろうとは思うが、なんつーかかわいい。……ギャア!なに言ってんだ俺は!!今のナシナシ
ま、声をかけるタイミングを逃してずるずる時間は過ぎていって今日まできたってわけよ。
「よォし!ちょっくら行ってくらァ」
神楽と新八に背中を向け、一歩ずつ甘味屋に近づいていく。それに比例して俺の心臓も警戒なビートを刻みはじめている。
「あああああのっ!」
「あら、いらっしゃいませ」
にっこり微笑む目の前の彼女に顔が熱くなる。うわァァ、なに話しゃいいんだ!ぱくぱく口を開けたり閉めたりを繰り返してうしろにいるあいつらのことを思い出す。…そうだ、あいつらに俺の勇姿を見せてやらねーとな。すこし落ち着きを取り戻したところで今度こそ、と口を開けた。
「名前教えてください」
よっしゃ言えた!
うしろでガッツポーズを作って、キメ顔で答えを待つ。
「あなたがいつもチラチラわたしを見てた変態?」
「……へ、」
「その死んだ汚ならしい目でわたしを見ないでくれるかしら。不快だわ」
これは…………誰だ
俺がときめいていた子じゃない。そうだ、ものすごいあの子に似てるSMクラブの女王様とかだ。うん、絶対そう
「毛玉みたいに暑苦しい髪の毛をして、よくわたしに声がかけられたわね。感心するわ、その無神経なところ」
「SM女王は夜の街に帰れ!俺はおめーなんかに興味ねェんだよ」
「声をかけてきたのはそっちでしょう?わたしの貴重な3分をあなたの一生で返しなさい」
なんだこいつ!Sな俺が圧されるなんて。てかさっきから言ってることひどすぎる
「銀さんっ!」
「お前銀ちゃんに謝れ!確かに足臭くて最低で仕事してないプー太郎だけど、ひどすぎるアル!」
「…神楽ちゃん、それフォローになってないから」
見かねた神楽と新八がわらわらと出てきた。女王様はにこりと笑った表情は崩さないまま、それを見ている。
「ロリコンでニートなんて本当最低ね。警察呼ばなくちゃ」
「ま、待ってください!銀さんはあなたと話をしたくて」
「こんな男の子と女の子を捕まえてなにをしてたのかしら。しかもチャイナドレスなんてコスプレ?ロリコン変態野郎なのね。この世界で一番不必要な人種だわ」
「新八、神楽……俺の墓にはいちご牛乳を供えてくれ」
「銀さん!」
「銀ちゃァァん!」
「墓なんか作る必要ないわ。土地の無駄になるでしょ」
も、俺のHPが………
こんなに精神がボロボロにされてんのに、話せて嬉しいって思ってる自分が情けねェ
くそー、好きだ
ネガティブな恋愛事情