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「今日祭りあるらしいぜ」
「高杉はホント祭り大好きだな。行きたいなら一人で行けや」
「あたし行こうかな」
「俺も久しぶりに行こう」
「え、ヅラも行くのかよ」
「ヅラじゃない桂だ」
「お前は来ないんだろ?銀時」
「……やっぱ子どもだけじゃ危険だろ。保護者が行かなきゃいけねェから俺も行くわ」
「あんたも子どもでしょ」
「よし、3人で決まりだな」
「じゃあ行くか」
「混むからそろそろ行った方がいいよね」
「ちょ、待」
「バイバイ銀時」
「じゃあな銀時」
「おとなしく待ってろよ銀時」
「俺も行くううう!」



結局4人で祭りに行くことになった。ぞろぞろと歩いていると、銀時はさっそくわたあめの屋台に飛びついた。


「うまそー」
「待っててあげるから買ってきなよ」
「あんなクソ甘いもんのどこがいいんだか」


銀時がわたあめを買っている間、近くの屋台を見てまわる。金魚すくいや射的など楽しそうなものばかりが並ぶ。中身が20代なあたしでも心は踊る。目を輝かせながらふらふら歩いていく。
あれ、晋助は?小太郎は?はっと気づいて辺りを見渡しても3人の姿はない。迷子にはならない、とちょっとした自信があったのに。体だけじゃなく、心も子どもに戻ってしまったみたいだ。

とぼとぼと来た道を戻ってみんなを探す。帰ろうにも道が分からない。ホントにどうしよう。途方にくれていると後ろからあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。


「名前!」
「……銀時」


いつも以上に髪をくしゃくしゃにしながら銀時がこちらに駆けてくる。呆然とそれを眺めていると、頭を叩かれた。


「いった!何すんのよ」
「てめえは一体何回心配させりゃあ気がすむんだよ、このバカ!」
「……ごめん」
「次は迷子になんじゃねーぞ」


手貸せ。何がなんだか分からないうちにあたしの右手と銀時の左手は繋がれていた。心なしか耳がほんのりと赤いのを見つけ、小さく笑った。そして銀時の左手を離さないようにぎゅっと右手に力をこめた。



日付が変わるまでは手をつないでいて




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