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いくつ [ 13/29 ]





明日、みんなは行ってしまう。あたし一人を残して。追いかけたいのは山々だけどもうあんな戦争をするのはこりごりだ。
部屋の隅で膝を抱えて座る。この先あたしがどんな選択をするのがベストなのか、分からない。


「名前、いるか?」
「……うん」


スッと襖が開けられて、きらきら光る銀髪が目に飛び込んでくる。それからどすん、とあたしの目の前に座る。


「明日、俺たちは出発する」
「…うん」
「最後にもっかい聞くぞ」
「…」
「一緒に来ねェか?」


膝を掴む手に力が入る。真っ直ぐあたしを見つめる目を、そっとそらす。


「今まで俺たち4人は一緒にいた。だからお前がいない俺たちなんて不完全だ。」
「…」
「一緒に来いよ、名前」


そんな風に言わないで。ダメだ、行けないと断れなくなる。4人ならあの地獄をもう一度越えられると勘違いしてしまう。
明日この道場を出る時間を告げて、銀時は出ていった。うっすら暗くなった外を見つめてため息をおとした。

近くにあった刀を引き寄せて鞘を抜いてみる。まだ使ったことのないそれは輝きをはなっている。指でなぞると、小さく切り傷ができた。これで人を刺す。そう考えると行きたくない、と思う気持ちが強くなる。


「……先生」


気づけばそう呟いていた。いるはずのない師の名前は空気に溶けて消えた。
もし、先生が生きていたら。あたしたちは戦わなくてもよかったのでしょうか。血を流すことも、傷つくこともなかったのでしょうか




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