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かみさま [ 10/29 ]




手を伸ばしてすぐに止めた。果たして先生に触れてもいいのだろうか。




「先生!先生!!」


隣で必死に叫んでいる銀時の声をぼんやり聞く。いつものようなやる気のなさそうなオーラは消えていて、代わりに感じたのは焦り。これは夢だというのにあまりにも残酷すぎる。もう、あんな過去は思い出したくなかったのに。古傷を抉るようにこんな光景を見せるなんて。


「名前、誰か呼んでこい!」


言われるがまま、廊下を駆けて近くにいた晋助を呼び止める。状況を理解できない晋助はただただ先生を見つめるだけ。うんともすんとも言わずに立ちすくんでいる。
そうだ、あの時もこうだった。晋助は先生が本当に大好きで尊敬していた。だからこそ、先生の死を受け入れられなかった。


「晋助」


名前を呼んでも応えはなく、その場に貼り付けられたように動かない。さっきまで焦っていた銀時が少し落ち着いて小太郎を呼んでくるよう、あたしに告げた。



「どういうことだ、これは」


目を丸くして、晋助と同じように小太郎も言葉を失った。先生の血の紅がいやに鮮明にまぶたに映る。

どうして先生が死ななければならないのか、今でも分からない。身寄りのないあたし達に居場所を与えてくれて、勉強を教えてくれて、剣術まで指導してくれた。先生はみんなの神様だったのに



かみさまが死んだ原因を知っていますか




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