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終焉 [ 9/29 ]





その日は少し肌寒い、曇りの日だった。ちょうど今日みたいな天気。


「おい、なにボーッとしてんだ」
「年中ボケてる銀時に言われたくない」
「…テメー、相当俺とやり合いたいらしいな」


銀時をカチンとさせてしまったらしく、ずるずる引きずられるようにして道場まで連れていかれた。


「嫌な天気だなあ」
「ッチ、湿気のせいで頭くるんくるんだ」
「いつもでしょ」
「コロス!」


髪の毛のことを言うと絶対に怒るのでからかって楽しんでいると、竹刀でこっぴどくしごかれる羽目になった。銀時がトイレに行っている隙に逃げ出そう、とぼろぼろの体で外へ飛び出した。
銀時に見つからないよう、寺子屋の周りをぐるぐる回る。たまに声が聞こえ、その度に足に力を込めた。

ふと、縁側でぼうっと突っ立っている銀髪が見えた。あんなとこで何をしているんだろう。後ろから驚かせてやろう、と思ったがそんな雰囲気ではない。銀時に追われていることも忘れて、そっと声をかけた。


「銀時」


名前を呼ぶとびくり、と肩を震わせた。だけどこちらを振り返ろうともしない。もしかして聞こえていないのか。もう一度名前を呼ぶと、静かにあたしを見た。


「せんせいが、」


ぽつり、と小さな掠れた声でそう呟いた。指指された方を見ると、おびただしい血と倒れている先生がいた。




「…なに、これ」


見たくない、信じたくない。絶対に思い出したくない過去があたしの目の前に現れてしまった



リアルすぎた終焉がまぶたに焼き付いて今でも離れないよ




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