マヨ漬け。 | ナノ
ちょ、何これ。
鏡に写った自分の姿に、思わず冷や汗がたらり。年齢とはかけ離れたその姿に恥ずかしいと思うより、少々イタイと思ってしまう。
やっぱりセーラー服は無理だよな、と鏡の自分に苦笑いをこぼす。
トッシーには悪いけど、やっぱり断わろう。サイズが合わなかったことにして返そう。こんなの、見せられるようなものじゃない。そう思ってセーラー服を脱ごうとした時。
ガラリ
突然障子が開いた。
立っていたのはトッシー。隣の部屋で待っていたはずなのに。私を見下ろすように見つめるトッシーに、慌てて立ち上がる。
「ごめん、トッシー。やっぱりサイズ合わな「着れてるじゃねェか」
「え、」
トッシーの口調とは似ても似つかない言葉に声をなくす。ニヤリと口角をあげて笑うその表情は、
「ト、トシ!?」
やっとわかったか、とため息を吐きながらゆっくり近づいてくる。
「…なんで離れる」
「な、なんとなく」
まるで獲物を捕まえるときのライオンの眼光のようで、気づけば後ずさっていた。
「それ、あのオタク野郎に貰ったのか?」
クイと、顎でセーラー服を指される。
「う、うん。」
ようやく自分の恥ずかしい格好のことを思い出して隠すように肘の部分に手をおいた。
「へェ……」
じりじりと距離を縮める動きに合わせて私も後ろに下がる。不機嫌オーラが漂う室内から一刻もはやく逃げ出したいのに、それは叶いそうもない。
いつの間にか私の後ろには壁が。もうこれ以上逃げられない。冷や汗がたらりと背中を流れていく。
「気に入らねェな、俺以外の男から貰ったモン身に付けるなんて」
俺以外の男って…トシもトッシーも同じ人じゃん。
なんて言うと何が起きるかわからないから、黙って様子を見る。
「そんな悪いヤツにはお仕置きが必要だな」
ペロリ、と唇を舐め文句を言いかけた私の口をトシが優しく塞いだ。
お仕置きって…とひとり赤面する私も久しぶりにイチャイチャしたいし、とやっぱり最後にはトシに甘くなってしまうのだった。