マヨ漬け。 | ナノ


「おめでとうございます」


ああ、やっぱり。仕事が休みの日を選んで産婦人科で診察を受けにきた。にこやかに笑っている医師に小さく礼をする。

病院を出て、近くにあった公園のベンチに腰をかける。これからどうしよう。トシに言わなければいけないのは重々承知だけど、コンビニで見た光景が蘇る。まだ結婚だってしていないのに。トシだって真撰組副長だという役職についている。お腹にいる子どもと私を面倒だと思うかもしれない。
潤んできた目を着物の袖で慌てて拭う。ここで泣いたって何も変わりはしない。



ため息一つ吐いて、とぼとぼと歩きだす。ふと顔を上げるといつかのコンビニの女の子と、トシ。仲良さげに話し合う二人に胸がえぐられるような感覚を覚える。気づくとお腹の辺りをぎゅっと押さえていた。ここに私とトシの子どもがいる。産みたい、と素直に思うけどトシはきっとそれを望んでいない。
中絶という言葉が頭をかすめてがく然とする。この先私はどうすればいいの。



「アレ?なまえちゃん?」


聞きなれた声がして振り向く。目線の先には坂田さんと新八くんとチャイナ服を着た女の子が立っていた。


「こんにちは、姉上のお友達のなまえさんですよね。」
「銀ちゃんの女アルか?」
「ガキはそんなこと知らなくていーんだよ」
「隠すとこがまた怪しいアル。男は不潔ネ」
「あ、あの……」


目の前で繰り広げられるコントのような会話についていけない。声をかけるとやっと止まってくれた。


「おらガキ共さっさと散れ。こっから大人の話があんだよ」
「大人の話って何アルか?わたしも聞きたいネ」
「いいから神楽ちゃん。それじゃ僕ら行きますね」


満足に話もできないまま、新八くんと女の子は去っていってしまった。




「邪魔な奴らは行ったし、どっかで話すか?」
「……坂田さん」
「あ?」
「依頼お願いできますか?」


目の前にある紅い瞳が不思議そうに私を見つめていた。




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