マヨ漬け。 | ナノ
ひやりと額に冷たさを感じ、目を開ける。そこにはトシが座っていた。
あれから家に帰り、すぐに寝込んでしまったのだ。
「ありがと」
「早く治せよ」
小さく頷き、軽く咳をする。トシはそんな私の頭を撫でてくれた。
ピンポーン、とチャイムの音が響く。誰か来たようだ。起き上がろうとしたが、トシに寝てろと言われておとなしくベッドに戻る。
「こんにちはー、万事屋でーす」
「さ、坂田さん!?」
「何でテメェが」
「なまえちゃんが心配だから来ちゃった。あと依頼で」
お邪魔しまーす、とトシの制止も聞かずに私のベッドまでやって来た。お見舞いだと手渡されたビニール袋の中にはいちご牛乳やプリンなど甘いものが入っていた。
「あの、依頼って…?」
「お妙が仕事で見舞いに行けないから代わりに、ってよ」
どうやらお妙ちゃんは私が風邪をひいたことを知っていたようだ。(たぶん坂田さんが言ったんだと思うけど)
「さっさと帰れ、なまえの風邪がひどくなる」
「いいよ、トシ。せっかく来てくれたんだし」
「お、なまえちゃんやっさしー。どっかのマヨラーと違って」
「どういう意味だコルァ」
今にも喧嘩しそうな2人に苦笑い。こんなに仲悪かったなんて知らなかった。とりあえずお茶でも出さないと。むくりと起き上がった私を慌てて坂田さんとトシが止める。
「おい、寝てろって」
「でも坂田さんにお茶出さないと」
「いいって、こんなヤツ。ほっとけ」
「てめ、やんのか」
「上等だ。表出やがれ」
そんなやり取りにクスリと笑う。それからうとうとと眠くなり、いつの間にか夢の中へおちていってしまった。