マヨ漬け。 | ナノ


トシにメールしてから数分後、すぐに携帯が震えた。相手はやっぱりトシで、すぐに迎えに来てくれるらしい。
良かったと思った瞬間、くらり。足元がふらついた。


「っおい!」
「すいません」


腕を掴まれ、なんとか倒れずにすんだ。体調はかなり悪化しているみたい。ありがとうございます、と言いながらもまだくらくらしている。




「何してんだテメェ」


聞き慣れた声を耳にし、思わず後ろを振り返る。
そこには着流しを着たトシが立っていた。(気のせいか、いつもより瞳孔が開いている)


「あれ、多串くん?」
「…万事屋?」


お、多串?坂田さんの言葉に引っ掛かる。
互いの名前を知っているのを見ると、どうやら二人は知り合いらしい。




「お前、なんでここに」
「多串くんこそ。」
「多串じゃねェって何回言えば分かるんだテメェは」
「待てよ、なまえちゃんがお前を呼んだってことは、」


そう言いながら私とトシを見比べる坂田さん。何か思いついたのか、にやりと笑みを浮かべた。


「あー、おたくらそういう関係?いやあ、悪いね気づかなくて」
「うっわ、何だその顔。ムカつくんだけど」


にやにやされながら改めてトシとの関係を言われると気恥ずかしい。視線を下に向け、坂田さんを意識しないようにする。それでも頬は熱を持ち始めている。

じゃあ帰るわ、という声に下ろしていた顔を上げる。すでに坂田さんは歩きだしていて、背中しか見えない。ありがとうございました!慌ててお礼を言うと、手だけひらひらと振ってくれた。
そのまま銀髪は夜の闇に消えていった。




「知り合いなのか、あいつと」
「うん、まあ」
「…ふーん」


つまらなそうに明後日の方向を見ているトシに吹き出してしまう。気にしているなら素直にそう言えばいいのに。


「なに笑ってんだ、行くぞ」


グイ、と腕を引かれて歩き出す。ほんのりと耳の赤いトシにばれないように小さく笑みをこぼした。





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テーマ「人外ファンタジー」
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