マヨ漬け。 | ナノ


仕事と私どっちが大切なの?なんて言う女になりたくない。仕事も女も大事だろうし、ましてや比べるようなモンじゃない。それくらい、分かってる。それにトシは真撰組副長っていうすごい仕事に就いてる。だから、仕事が忙しくて会えない日があっても仕方ないって思うよ。


でもいくらなんでも、3週間は長すぎ。怪我してないかとか、ちゃんと食べてるかとか。心配する私の身にもなってほしい。電話の1本でもメール1通でも連絡がほしいけど、それさえもできないほど忙しい。

…でも、さ。もう少し私を優先してくれてもいいと思う。




連絡なしでひょっこり私の家に来たりするから、いつも用意するごはんは2人分。今日もいつもと同じように2人分のご飯を炊いて、おかずを用意する。時計をチラチラ確認し、トシが来そうな時間を予想してみたり。そんな時間も過ぎて、ああ今日も帰ってこないのかと小さくため息。


ピンポーン


聞こえたチャイムにビクリと体を揺らす。もしかしたら、もしかする?




ガチャリと鍵を開けると、ガバッと抱きつかれる。煙草の香りが鼻を掠めて彼の匂いだと安心する。


「おかえり。」


トシの肩に顔をうずめながら、くぐもった声で小さく言う。久しぶりの温もりに涙腺がゆるみそうになって慌てて眉間に力をいれる。


「ただいま」


トシの声に存在をきちんと認識する。
寂しかった、なんて私にはそんなかわいいこと言えないけど。それでも、元気で良かったぐらいは言ってあげようかな。




抱きしめられたまま、数分。嬉しいけど、ごはんが冷めてしまう。ポンポン、と背中を数回かるくたたいて離してくれるように合図する。


「ね、トシ」

「…もうちょっと、このままでいさせろ」


ぎゅっとまた力強く抱きしめられて苦しくなる。
寂しかったのは私だけじゃないんだ、となんだかすこし嬉しくなる。いつもはクールで全然甘えてくれないトシだけど、こうしてくれるなら会えない日が続いてもいいかも。
つくづく現金な女だなあ、と心の中で笑ってトシの肩口に顔をうずめた。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -