マヨ漬け。 | ナノ


年も明け、今日は仕事だ。お正月は残念ながらトシとは過ごせなかったけど、まァ楽しいお正月だった。トシは真撰組の仕事で、さぞや忙しいお正月だったんだろう。そう考えると、本当に大変だと同情してしまう。
そういうわけで新年が明けてからトシとは会っていない。まともに連絡もとっていないので、今何をしているのかさえも分からない。

憂鬱な仕事を何とか終わらせ、寒い夜の街へ出る。
今トシは仕事かな。風邪引いてないかな。怪我とか、してないかな。
…あれ、今トシの姿が。気のせいだよね、まさかトシがキャバクラから出てくるなんてそんなこと。しかもお姉さんと腕組んでるし。でも、あの後ろ姿は。ていうか沖田くんいるし。



誰か嘘だと言ってほしい。久しぶりに見た彼氏が浮気してるなんて。全然笑えない。
今日、連絡しようと思ってたけど私からは絶対してやらない。




*




「よォ」

一番会いたくない人が目の前にいる。…何で?
朝刊を取ろうと外に出たのが間違いだった。
ドアの隙間に体を滑りこませ、簡単に家に入ってくる。


「ちょ、何?」
「久しぶりに会ったのに第一声がそれか?」


声が刺々しい。やっぱ連絡しなかったのはマズイか?


「…俺に黙ってること、あるよな?」


トシの一言で、すべて分かってしまった。男に襲われたことがバレたらしい。
でも、私だってトシに言いたいことがある。


「トシだって私に黙ってることあるよね?」


トシの目が僅かに揺れる。…ほら、やっぱり。昨日のことは事実だったんだとトシの目が証明している。


「話反らすんじゃねェ」
「私、見たんだよ。トシが昨日キャバクラから出てきて女の人とイチャついてんの。」
「それはそれ、違う話だろ。」


いやにトシの声が冷たく聞こえる。…否定、しないんだ。


「出てって」
「まだ話終わって「一人にして」
「…勝手にしろ」


バタンと扉が閉まり、急に静かになる。物音一つしない。



どうして上手くいかないんだろ。本当はもっとトシといたいのに、風邪とか怪我とか心配なのに。
昨日の光景が頭から離れない。信じたい、でも疑ってしまう。あの時否定してくれたら。違う、あの女とは関係ないって一言言ってくれたらそれだけでいいのに。
どうして、もっと器用になれないんだろう。



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