マヨ漬け。 | ナノ


いよいよクリスマス当日。プレゼントも買ったし、女らしくなれた、よね?鏡の前を何度も行き来して自分の姿を念入りにチェック。結構頑張ったけど、やはり自信はない。メイクや髪型は美容院、服は友達に。友達はかわいいと言ってくれたけど、トシにそう思われないと意味がない。



待ち合わせ場所に数分早く行くと、既にトシがいた。トシはそういうところキッチリしてる。
足を一歩踏み出すごとに緊張が増していく。それと同時に逃げ出したい


「ごめん、待った?」


髪が乱れないようにしながら、小走りで走り寄る。お決まりのフレーズを言ってみてもトシからの返答なし。


「…トシ?」

「おま、その格好、」

「え、変だった?」


トシの目付きが驚きと動揺の色になって、やっぱりおかしかったのかと落胆する。もう少し顔痩せるべきだったかも。それとも着物がダメだった?一応この日のために上物を買ったんだけど。トシの反応に自分の格好が気になりだす。



「いや、似合ってる」


思わず耳を疑ってしまうけど、トシの顔がほんのり紅いことがこれは現実だと教えている。
行くぞ、と手を引かれて歩き始める。周りを見ると、カップルだらけ。しかもみなさん熱々。無性に恥ずかしくなり、慌てて視線を下に向けた。


あらかじめ予約しておいたレストランで食事を済ませ、イルミネーションで輝く街を歩く。こんなクリスマスは久しぶり。
トシを見ると、ただ黙って歩いている。つまらないのだろうか。心配になり、トシに声をかけようとしたらいきなり抱き締められた。びっくりして目を点にしていると、耳元で小さく呟く声。


「悪ィ、我慢できねえ」


途端、唇に熱を感じた。
人が見ているのに、と軽くトシを押して抵抗するけど無意味。


「み、みんな見てたのに!」


口元を拭いながら責めるように言う。真っ赤になったであろう頬にあたる冬の風が心地いい。


「見せつけてやればいいんだよ」


ニヤリと笑うトシはいつも以上にカッコよくて。許してしまう私はかなり末期みたいだ。




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