マヨ漬け。 | ナノ


女らしくなる、と決意したものの何からすればいいのか分からない。ふと鏡を見ると、肉付きのいい自分の体が映っていた。やっぱり綺麗になるには痩せなきゃ。
ダイエットをやるのは初めてではないけど、ほとんど長続きせずに終わってしまった。でも今回はクリスマスという大イベントがあるのだ。なんとしても途中で投げ出すわけにはいかない。



風呂上がりに腹筋。毎朝ジョギング。仕事帰りに少しランニング。これを毎日続けることにした。もちろん運動だけじゃなくて食事制限も。間食を止めて炭水化物は控えめに。健康的に痩せる、これが私のモットー。




そうして毎日運動と食事制限を続けて、カレンダーの日にちはクリスマスに近づいていく。それを見てすこしだけ憂鬱になる。
実はまだトシとクリスマスの約束をしていない。約束をせずに女らしくなっても意味がないことはよくわかっているけど。でもあの夜のことがバレてしまうのが怖くて、なかなか連絡できずにいた。いつまでも逃げているわけにはいかない。私はそっと息を吐き、携帯に手を伸ばした。


電話帳からトシという名前を見つけてボタンを押す。プルル、と呼び出し音が鳴るのに比例するように心臓が忙しく動き始めた。


『もしもし』


久しぶりのトシの声に、なんだか無性に寂しさを覚える。


「トシ?」

『どうした』

「あの、クリスマスのことなんだけど。仕事入ってる?」


心なしか、声が震えている。それがバレないように咳をしてみたり。

今までクリスマスは一人が多かった。トシの仕事上それは仕方ないこと。自分でもわかっている。だけど、今年こそはトシと一緒にいたい。



『いや、大丈夫だ。どっか行くか?』


仕事がないことにホッとし、待ち合わせ時間と場所を決めて電話を切った。




とりあえず、約束は取り付けた。あとは当日までに準備するだけ。
絶対に素敵なクリスマスにしてやる、と小さく決心した。




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