マヨ漬け。 | ナノ
真選組では軽く話を聞かれただけで終わった。
ありがとうございました、と隊士さんに礼をして長い廊下を歩く。
そういえば今日、トシはいるのだろうか。騒動のせいで忘れていたけど、ここは職場。いないはずがない。もしいるのなら、また怒られてしまう。トシの説教は長くてしかもかなり怖い。さすが鬼の副長だ、と変に納得してしまう。
今見つかると怒鳴られることは間違いないし、何より真選組内で怒られるのはなんとしても避けたい。
おそるおそる周りを見渡してみるが、トシらしき人物は見当たらない。ほっと息を吐き、真選組を出た。
店を出た時、既に10時をまわっていたので今はもう深夜だろう。
寒さが身にしみる。ぶるりと体を震わせ、マフラーをきつく巻きつけた。
先ほど男に襲われた(未遂だけど)せいで、辺りをキョロキョロと見渡してしまう。真撰組の人に送ってもらえば良かった、と後悔。
それより、あの男。私のことを『男かよ』って言いやがった。思いだしても腹がたつ。
そんなに女らしくないだろうか。相手が犯罪者だとは言え、そんな風に言われたのは事実で。地味に傷ついた。
もうすぐ恋人たちのクリスマス。…チャンス、かもしれない。きっかけは微妙だけど、女を磨く良い機会だ。クリスマスまでには女らしく、綺麗になってやる。私は寒空の下、一人固く決意した。