マヨ漬け。 | ナノ


迂闊だった。家の近くまで来たからと、油断していた。
先ほど総悟くんと別れ、路地を一人で歩いていると後ろから口を塞がれた。


「騒ぐな」


低い男の声が耳元で聞こえ、背筋が凍った。トシとは違うその声になにもできなくなる。そしてそのまま暗い路地裏まで連れていかれた。心臓がバクバクして、これからの自分の末路だけを考えていた。

ドン、と突き飛ばされ尻餅をつく。目を開いても、辺りが暗いせいで犯人の顔がよく見えない。
これから私は何をされるんだろう。寒さのせいか、恐怖のせいか。気づくと体が震えていた。


ふっと私の前に影がさして、男が目の前に立ったことがわかった。ぎゅっと目をつぶって震える体をすこしでも落ち着けようと手を握った。
……あ、れ?
数分が経っても、犯人はじっと動かず私を見ている。おかしい。ただじっと見てるだけなんて。それとも怯える女性を見るのが趣味なのだろうか。不思議に思っていると、犯人が舌打ちをした。今度こそヤバい、とまた心臓が忙しく動き始める。




「なんだ、男かよ」


ポツリとそう呟き、犯人は足早に去っていった。



ぽつんと一人残された私。…ちょっと待って。私が男だって?確かにここは暗くてよく見えないけど、どう見たって私は女でしょ!そりゃ声はどっちかというとハスキーな方。背も高い方だけど。




座り込んでいる私を見て、たまたま通りかかった通行人が真撰組まで送ってくれた。私の中には恐怖よりも怒りの方が強く、根付いていた。




「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -