いろいろ | ナノ
「おう、トシ」
「近藤さん、起きてたのか」
「………はあ」
「朝からため息なんかついてどうしたんだ。総悟がまたなんかやらかしたのか」
「……いや」
「じゃあなんだよ」
「……トシ、今日何の日かわかるか？」
「…なんとなく言いたいことはわかった」
「お妙さん絶対くれないだろうな、チョコ」
「やっぱりそれか」
「トシはいいよなー、たくさん貰えるから。いやでも今年は１つだけか？」
「……先、食堂行ってるからな」
「ハハハ、照れるな照れるな！」
「あ、近藤さん、十四郎さんおはようございます」
「噂をすればなんとやらってな。」
「なんのことですか？」
「なんでもないよ！じゃ、邪魔者は退散するとしよう」
「近藤さん！」
「どんなチョコもらったかあとで教えろよー、トシ」
「………」
「………」
「…なんか悪ィな」
「……いえ」
「なんか顔色悪いけど大丈夫か？体調悪いなら寝てていいぞ」
「あの、そうじゃなくて、その」
「どうした」
「ご、ごめんなさい！！」
「！」
「わたし、すっかり、その…忘れてて。今日が、バレンタインデーってこと 」
「……あァ」
「本当にごめんなさい」
「そんな気にすんな。たかが甘味屋の商戦だろ」
「……はい」
「…おい」
「はい？」
「今日夜予定空けとけ」
「え？」
「せっかくだ、飯食いに行くぞ」
「え？え？」
「だから、その時間に合わせてなんか用意してくれると…嬉しい」
「っ、はい！！あんまり甘くないもの作っておきますね！」
「………助かる」
忘れた女と、フォローする男の話。