今日のカレーは心なしかちょっと甘い気がする。いつもは中辛のカレー粉と辛のカレー粉を混ぜて作っているけれど、今日は辛の代わりに甘口を入れたっぽい。佐助はスープカレーが本当は好きらしいけれど、私がトロトロしたカレーが好きだから、一所懸命カレーをトロトロにして作ってくれる。別に無理しなくていいのに。なんか、優しいよね、ほんと。

「美味しい?」
「……あんまり。」
「えっ……」
「嘘。美味しい。」
「最近それ多くない?ドキッとするからやめてよ。心臓に悪いわ、」
「ドキッとさせてんだもん。」

私がそう言って笑うと、彼は何、ツンデレ?、とか言って笑った。ツンデレしてるつもりはなかったんだけれど、そう言うことにしておいた。

「実は今日さー、」
「うん。」
「知らない女の子にナンパされちゃったんだ。きゃは。」
「ふーん。」

五口目のカレーを食べようとしたところで、佐助はいきなりこの話しを切り出した。とりあえずふーんと返事を返し、スプーンを口の中に押し込んだ。

「……やきもちやかないの?」
「別に。」

もともと顔だっていいし、ルックスもかっこいいから、ナンパされたって不思議じゃない奴なんだということはもう既に承知している。だからこんなんで一々ヤキモチ妬いてたら多分私はとっくに焼け死んで黒焦げになっているに違いない。時折、佐助は私にヤキモチを妬かせる為に意地悪してくるから正直面倒くさい。可愛いから許すけれど。(っていうか、私はそのナンパしてきた女よりも、最後の語尾に付けた“きゃは”の方が感にさわるんですけど。)

彼は私があまり興味無さげに答えるのを見て、少し凹んでいた。そして小さく溜め息を吐いていた。一体どこの乙男だお前は。

「女の子に何て言われたの?」
「ん?…ヤろうヤろう言われた。」
「きたな。」
「いや、汚くはないでしょ。」
「何歳ぐらい?」
「一個下くらいかな。」
「ふーん。」
「名前ちゃんがヤろう言うなら悦んで受け入れるんだけどなあ。」
「キモ。」
「……(シュン)、」

最近佐助はキモ可愛い。


20100314.





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