女の子の匂いというのはひどく甘くて、ペコの好きなお菓子とはまた違った類の甘ったるい匂いがする。知らなかった 目が合うとみょうじさんは少し笑って、まるでそれが合図だったみたいにセーラー服のスカーフをするりとほどいた。いつものあどけない笑顔ではなくて、どこか大人びた微笑みだった。 「月本くん」 「うん」 いつもと同じように名前を呼ばれる。僕じゃない人が呼ばれているように感じた。みょうじさんはほどいた白いスカーフを絡みつけるようにして、僕の手首をいじらしく握った。 「月本くん、これからなにするかわかるよね」 「うん」 「ほんとに?」 「知ってるよ」 「うっそ」 みょうじさんは目を丸くした。知らないわけない。知らない方がおかしいでしょう。ペコはそういう話好きだし、僕だって…。みょうじさんは僕のことをなんだと思っているのだろうか? 「そういうビデオ、見るの?」 「たまにだよ」 「意外。じゃあさ、ねえ月本くん。月本くんはひとりで…ひとりでそういうことしたりする?」 僕の太股を撫でながらまるで猫が甘えてくるように、みょうじさんは僕にすりよった。目がとろんとして唇が少し濡れている。唾を飲んだ。胸が高鳴るのを感じた。これがみょうじさんに知られないと、いい。 「わたしはね、するよ。月本くんのこと考えながら、ひとりで、するの」 「……うん」 「でもほんとは、月本くんとしたいの。一人じゃさみしい。いっぱいさわってほしいし、いっぱいちゅうしたいの」 「うん」 「月本くんは、わたしとそういうことしたい?」 「したいよ」 キスをされた。とびきり甘いキス。しっとりとした唇が、僕をどうしようもなくだめにする。思わずみょうじさんの腰に手を回した。すごく、興奮する。こんなに気持ちが高ぶるって、ない。みょうじさんの匂い、感触、耳に飛び込む甘い声…全部僕には刺激が強い。もっとさわって、みょうじさんが言った。僕の手は制服の下へと誘導される。初めて触れたみょうじさんの素肌
「セックスしよう」
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