七
足りなくなっていた空気を一生懸命吸う。
元親は不機嫌そうな顔のままだったけど何かに気づいたのかニヤッと笑い
「何度やっても慣れねぇな霧姫。
鼻で息しろって教えただろ?‥可愛い奴だな」
「こっの!変態が!!」
「ぐっ!!」
思いっきり脇腹に拳で殴る。
うっかり怪我した方の手で殴ってしまったので痛いが照れた顔は隠せたと思う。
「てめぇ本気で殴ることはねぇだろ!」
「だって元親が悪いんじゃないの!!
いきなり襲ってきてそれはないでしょ!」
お互い顔を突き合わせて文句を言い合うと緊張が切れたように笑いあった。
木陰の下で吹いてくる風が心地よい。
元親はまだツボにはまっているのか笑い続けている。
それを見てとても安心した。
「‥何だよ、その生温かい目は」
「何でもないー!!
ほら政宗殿を加勢に行かなくちゃ」
「おう!!」
と威勢よく歩き出したのは良かったけど。
「‥…元親ここはどこなの?」
「大阪に行く途中だぜ」
「もしかして歩いて大阪城?」
「‥…だな」