いつも一人だった。
家族を失い、居場所を失った私は人を憎み何も出来なかった自分を憎んだ。
それと同時に絶望の闇の中に落とされた。

来る日も来る日も殺しや戦闘に出され、守るものもなく自分の為に戦った。
傷も手当をする事なんてなかった。
痛みが増えれば自分は消えることができる、そう信じていたから。

そんな日々が終わることなんて予想していなかった。

『ほら、俺達と来いよ』

あの日、砂埃や血で汚れた私に笑顔で伸ばしてくれた手を忘れない。
きっとあの時には元親に惹かれていたのだと思う。

いつだって危険な時や自分を見失ってしまいそうな時には隣にいてくれた。

だから今だって

「‥元親」

この頬に感じる手のぬくもりは彼だと信じることができる。

薄く射し込む光に気づいて目を開くと優しく微笑む元親の姿。

手からは血が出ていてとても痛そうだ。

「やっと俺を見てくれたな」

その痛みをもろともせず、にっこりと笑う彼につられて私も小さく笑う。

元親は太陽みたいな人、だ。
近くにいるとぽかぽかと暖かい気持ちに自然となる。

(何を‥…)

何を恐れていたのだろう。
元親は私の事を気にかけて大切にしてくれていたじゃないか。
私自身もこの力も全部を愛してくれた。

「帰るぞ。野郎どもも政宗達も待ってる」

「うん‥…!」

緩まった茨から手を伸ばし元親の手を握った。






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