「君の一族の事はよく知っているよ。
まさか本当に白髪の女人だとは思わなかったけどね」

「情報が欲しければそちらへ味方しろ、
と?
そんな手で私が長曾我部軍を捨てると思いますか?」

元親の背中から姿を見せ、眼下の軍勢を見下ろす。

私の髪色は元親と同じ白だ。
姿を変え、狼になれば銀の毛並み。
それを晒したことで豊臣の軍勢は少なからず動揺を見せた。


「優秀な人材は全て豊臣軍に協力すべきだ。
片倉くんのようにね」

「こじゅさんは攫われたと聞いています。
それは協力と言わない、脅迫です」

そう言うと竹中は薄く口元に笑みを浮かべこちらを見た。

「脅迫、ね。
じゃあ僕と取引をしよう。
君がこちらに来てくれるなら長曾我部の安全は保証する。
しかし素直に応じてくれないなら‥
わかるね?」

これも脅迫と同じだ。

ここで素直に従えば長曾我部の安全は保証される。
誰も傷つかないでいいのだ。

だけどその逆は、ここにいる軍勢全てで私達を潰すという事。

「てめぇ好き勝手言ってんじゃねぇぞ‥?」

「待って元親」

碇槍を抱え、今にでも飛び出そうとした元親を止める。

私一人が負う怪我と長曾我部の皆が負う怪我とでは被害の重さが違いすぎる。

今ここで私が軍師として指示を出すなら‥

「‥わかりました。
竹中殿、貴方に従いましょう」






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