4 こんにちわ



最近夢を見る、いつも同じ男性だ。
あなたは誰?私の何?

「なぁ、今度は手料理がいいな」

「あなたは、誰?」

「………」

「あなたはどこにいるの?私のなんなの?」

「…もう言うな」

「あなたは」

「目を覚ませ」



バチ!と夢から急に現実に引き寄せられる感覚がした。夢中では鼻から下しか見えない。彼は…着物を着ていた。

「…あなたが分からないと、私もどうすればいいか、分からないよ…」

ため息は静かな部屋に響いた。







「お姉さん、大丈夫?」

「あ…神主さん…」

フラフラとお狐様がいる神社に来ていた。疲れが溜まってるのだろうか分からないが、最近夢を見てから疲れることが多い。

「これ、よかったら」

「あ…お水。ありがとうございます」

「何かありました?」

銀髪の神主さんは私が座ってる所の隣に座った。

「…最近変な夢を見るんです…」

「変な夢?」

「はい…いつも夢の中の男性は、私にいつも優しくしてくれて…。だけど、その人は私と仲良くなりたいんだと思うんですけど、私は何も分からないから誰?と聞いてみたんです。そしたら怒らせたみたいで…」

「…そう、ですか…」

「いつも鼻から下しか見えないからなんとも言えないんですけどね!すみません、こんな話をしてしまって」

「いえ!…あの、その夢の中で、素直にあなたらしくしてみたらどうでしょうか」

「私らしく?」

神主さんは私をじっとみて微笑んだ。

「はい、あなたが素直に、その人のそばにずっといればいいんですよ」

「側に…」

「所詮夢の中ですから」

にっこり笑う神主さんをみてほっとする。やはり神主が言うのが説得力がある。さすがだ。

「わかりました!ありがとうございます。えぇと…」

「坂田銀時です」

「坂田、さん」

「はい」

「私は名字名前です。ありがとうございました、坂田さん。またお参りにきますね」

「お待ちしております」

私は坂田さんに手を振りながらマンションに戻った。坂田さんいい人だったな。こんな私の話を笑わずに聞いてくれて。

神社から帰る名前を見送る銀時。
風の音とともにふわりと出てくるチャイナ服に猫の尻尾をゆらめく神楽。

「銀ちゃん、もうすぐ?」

「…いやなかなか落ちねェ」

「はーもうチマチマ…何してるネ」

「ウルセェ。なんか、邪魔してんのかァ?

「邪魔?」

「………鳥くせェな」

ザァ!と木々を揺らしながら不機嫌を前面に出す銀時と、それを見てやれやれとため息をつく神楽。









「側に、かー…」

マンションに到着し、エレベーターを待っている時、私はそう呟いた。夢の中だしそんな真剣に考えることではないのかもしれない…。神主さんが言ったことを信じるか、なんて思っていたら話しかけられた。

「どうしたんで?」

「わ!」

「すいやせん、驚かせてしまいやして」

「こちらこそ大きな声を出してすいません…」

「おい!総悟!って名字さん」

「あ、お隣の土方さん。こんにちわ」

「あ、こんにちわ」

少し走ってきたような感じでエレベーターのところまできた隣の住人の土方さんと、総悟と呼ばれた少年…青年?高校の制服を着てるからまだ10代なのだろう。

「あんた、名字って言うんですかィ」

「あ、はい」

「下の名前は?」

「名前、です」

「んじゃ名前さんな」

「え!」

「総悟!失礼だろ!すいません、名字さん」

「い、いえ!大丈夫ですよ」

「ほら土方さん、大丈夫って名前さんも言ってるでしょう」

ギャイギャイと話す2人を見て笑ってしまった。

「仲良いんですね、2人とも」

「「そんなことない!」」

「ふふ、息ぴったり」

ピン、と音がしてエレベーターが来たとこを知らせる。私が乗り込むと彼らも乗ってきた。

「あ、そう言えばどうしたんですかィ?悩みでも?」

「あ…悩みっていうか…」

総悟くんが私に話しかけてきた。10代と言えど私より背が高くて顔が整っているのであこれは学校でモテるだろうなと確信した。

「…最近夢を見て…」

夢の話を2人に言ったら少し驚いた顔をしていた。

「…逃げるが吉、ですね」

「逃げる…?」

土方さんは腕を組みながら私に話しかけた。

「知らん男からなら普通逃げるのが当たり前だろう。怖くねェのか?」

「怖い…なんか、何か何回も出てきてるから怖くないんですよね」

「何回も…。それでも逃げてくだせェ、名前さん」

「総悟、くん…?」

総悟くんも真剣な目で私を見る。なんで、こんな真剣なの?たかが夢の話じゃない。

「まぁ、その、なんだ。なんかあったら言えよな」

エレベーターから出て部屋の前まで送ってくれた。手をひらひらと振る総悟くんと、頭を下げる土方さん。
私も鍵を開けて入る。夢の話なのに、なんで?

「分からないよ…」




名前と離れた土方と沖田。
部屋に入るや否や、普通の人の格好から妖怪と呼ばれる服装に戻る。

「…やはり、奴は夢の中まで来ていたか」

「九尾の旦那もすげェや。そこまで接触してるとは」

「普通の妖怪なら夢の中まで入れないからな。奴は凄い力だ。名字さんと同じエレベーターに乗ったときヤツの気を取ろうとしたがダメだった。もう時間がねェ」

「土方さんでも取れねェなら俺なんかもっと取れねぇですぜ」

「バカかお前は。2人でやればできんだろ」

「土方お前がバカ」

キセルを吸い込み煙を吐き出す土方。そうつぶやく土方とそれを見る沖田。

「やるか…。総悟、あれ用意しろ」

「へいへい」

カツンとキセルの中身を捨て、用意をする土方。やつにあれが効くのか分からないがやるしかないと覚悟を決めた。


 

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